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2人の巨人を反復横跳び!!〜研業建築で巨人の肩を橋渡す!〜

社会人博士後期課程ってやつを見るの初めてだろうとおもうので、
今日はその生態を紹介していく


第1章 ライフワークリサーチホビーバランス

まず手っ取り早く、1週間のタイムテーブルを見てもらうと話が早いので…

最近の週を抜粋

ご覧のように、平日昼は仕事、業務後と土日は研究という綺麗な二重生活を送っている。
…はい、集中力散漫男です。

人間は脳の構造的にマルチタスクはできないそうなので、このようにながら作業が多い人は単純に注意力が無いそう。おっしゃる通りで…
特に今期は見るアニメが多いし、PCも買ったので出来ることがグッと増えて非常に充実した日々を過ごしている自覚がある。

改めて整理してみると研究時間がそこまで多く無いように見える。
調べ物とかは隙間時間でやってるから多分乗らない、のだと思いたい…
確かにもう少し進捗が欲しかったけど、これか〜原因…なるほどね

ともあれこのように、仕事と研究と趣味の3要素を乱立しながら日々の生活を過ごしており、基本的に三食自炊してアークナイツのイベントも完走している。
偉くない?そうでもないか…

見ての通りもっと効率化を図れる箇所は随所にあるが、あんまり詰めると死んじゃうかもしれないので、一旦このぐらいの負荷に落ち着いたところ。
実際には論文の提出期間等でスケジュールのバランスが前後することが多いし、
映画やイベントに行くとその日は稼働ができないので、
なるべく平日のうちに次回ゼミの進捗を出すのが重要である…

第2章 社博 Beginning

イメージされている社会人博士後期課程、よりはかなりライトなスケジュール感だったんじゃ無いかと思う。
ググると基本的に眠れないやら自分の時間がないやら聞くので、運が良いケースの紹介という感じかも?

そもそも何故社会人博士なんてルートを取ろうかと思ったかというと、
端的に言えば研究したいけど仕事やめるのは億劫、というちょっと斜め前向きな動機である。

元々修士時代、進学は考えていて研究職無かったら進学するか〜と思ってたので、
まあ実際に研究職に就いてみて、もう一声欲しいな〜というところで、
試しに相談してみよう!と親や先生に相談してみた次第である。

あとはあれですね。研究なんて個人でも出来るっしょ〜とか思っててやろうとしてたんだけど、いざ仕事始まると業務後全くやる気しないのね。
「やらねーとな〜」ってぼんやり思い続けて社会人4年目になったので、こらいかんということで危機感を募らせたという背景もあります。

社博Negotiation

そうなると大変なのが、関係各所への伝達。
その時点で自分が関係しているのは以下の3組織だったので、それぞれについての交渉が始まった。

  • 家庭

  • 大学(進学先研究室)

  • 弊社(社内規則・所属部署)

それぞれについて大体以下のような順番で進めていった、はず。

  1. 社内規則の確認
    そもそも禁止されてたら目も当てられないので、改めて就業規則とかを読み直して、明示的に駄目って書いてないのを確認しておく。
    幸い弊社はそこまで大きな会社ではなく、縦の風通しもそれなりに通る方なので大丈夫だろうという雰囲気はあり、実際明示的に駄目とは書いてなかった。

  2. 家族への説明
    当時同棲中だったので、諸々を説明し家事負担などの負荷バランスが変わるかもという合意を経て、応援体勢を築いておく
    人によってはここが一番の難所かも…
    あと実家にも相談して、なんかあった時のバックアップを依頼しておいたので、この時点で最悪どうにかなるでしょう状態になれたのは大きい。
    奇しくも次男も博士に進むそうだったので現在兄弟揃ってドクターを目指していることになる。奇特な一家…

  3. 進学先の先生への相談
    ここも人によってはかなりの難所。幸い自分は修了した研究室に戻る形なのですんなり進み、前倒しでゼミ的な時間を工面していただいた。感謝 🙏

  4. 上長・バックオフィス・社長への伝達
    ここも人によっては難所。改めて見たら難所だらけだなこのルート
    当然前例は無いので、前例が無いことを良いことに色々リクエストを積んで相談のテーブルに乗っけた記憶がある。俺自身が前例になることだ。
    とは言え業務に支障がないという合意が取れさえすればOKだったので、
    日頃の行い?によって社内政治力が磨かれていたのもあって割とすんなり突破。場合によっては転職も視野だったので一安心といったところ。

  5. 先生と会社との橋渡し
    あとは必要書類作成のため、先生とバックオフィスサイドであれこれやりくりをしていただき、ここは特に問題がなかった。

  6. 必要書類集め
    地味に難所。修士を出ているのでその周りの証明書類を集めないといけないのだが、大学が沖縄のため何をするにしても郵送でのやり取りが必要でかなり面倒だった…
    一応書いてある通りに揃えたが、結果的に同じ大学なのでその旨を伝えて料金を支払えば揃えなくても大丈夫だったらしい。
    早めに相談した方が良かったポイント。反省。

  7. 入試対策
    さて、いよいよ入試対策。社会人博士後期課程の試験は研究科によって色々あるようだったが、弊学は研究計画の発表と説明だった。
    自然言語処理系だったがChatGPT以前だったため、構文構造等の特徴量をTransformerに付与して制御性を向上させるアイデアを先生に確認し、一通りの資料を作成して臨んだ。
    個人的には理論的な土台が甘く不安だったが、割とすんなり通った。よかった…
    余談だが、入試はオンラインに対応していなかったので、渡沖してついでに観光して帰った。まあいいけどね。沖縄行くの楽しいしね。

  8. ゼミへの頭出し
    入学前に博士課程が来ますよ、という頭出しをSlackで、3月頃からゼミにも出てたかな?自然言語系の人が居なかったので腕組んで座ってました。

  9. 働き方改善
    最後に、オンラインとオフラインのハイブリッドだった弊社の勤務体系に、
    リモートの比重を増やす交渉を行なって、勤務形態も「ゼミが〜講義が〜」と泣き言を並べて労働時間の幅が利きやすいように変えてもらい自由度を得たので、現在に至るという感じ。

第3章 二足の草鞋で四輪駆動

次に実際どうなの話をしておくと、
企業での研究と大学での研究はかなりゴールに違いがあるので、
一口に研究と表現されても違う活動だなという感じ。

企業でのR&D

もちろん研究所とかあるとまた違うんだと思うが、
弊社の規模だと最終的な着地はプロダクト、という印象。
つまり期間が1ヶ月とか長くて半年とかのスパンで成果が求められる。

代わりに、新規性はそこまで強く求められなくて、
既存の手法や枯れた手法を組み合わせるようなのを試すことが多かった。
出たばかりの斬新な手法は、当然使われることを想定されておらず、
運用面での負担が大きいのでまずは安定したところから検証、という流れ。

論文的なのを出す手もあったが、現在進行してるプロダクトと接点がないと工数を確保しづらい上に、あまり社内のデータを外に出せない関係上、
交渉がなかなか進まず動けてなかった背景もある。

ただし、なんと言ってもお給金がもらえるのは最高の一言。
ここの土台がなければもう本当何にもなりませんものね。
先立つものとはよくいったもの…欲を言えばもう少しもっと欲しい。

大学での研究

一方で大学での研究は新規性や社会性などが強く求められる。
博士後期課程ともなれば尚のこと重要視される。

代わりに期間は年単位、成果としては論文としてまとまるようなものがあればよく、取り掛かれる作業の自由度が高いのが特徴。
逆に言えば「すでにやられてないか?」を調べるのが重要で、
「無い」ことを主張するのは毎回それなりに大変。でもまあ結局書くのに必要だから、結果的に調べてることが多い。

自分のモチベーションとしては自分の研究に加えて、研究室運営にもある程度関わっていければと思っていて、「現役LLMエンジニアが教える」あれこれのノウハウを共有出来ると後輩たちが助かるのでは?と思っている。
オンラインなので得体のしれない先輩感があるが、便利なAIとでも思ってもらおう。

そういう意味では今年の研究生は生成AI周りが多く、舞い戻った甲斐がありそうなので、頼れる先輩として上手く立ち回っていきたいところ。

こちらは当然、お金を払っている立場なので、学生という身分をうまく使ってペイしていきたいところ…
社会人という立場がなければDC1などの奨学金制度も多いが、
修士から準備してエスカレーター的にいかないと結構大変そうだった。
奨学金系は悉く「社会人を除く」されてたので、途中からあまり調べてない。

第4章 肩を渡す橋

そんなわけで、企業と大学の2種類の巨人の間を行き来している立場を生かして、
両者がいい感じに手を組めると良いなと思う。

情報系はかなり研究とプロダクトと距離が近い分野だと思っていて、
その情報の多さから「使える」技術の選定がお互いに難しい。
そこで俺の出番、となれる日を目指している次第です。

そのためにはまず両者の信頼を得る必要があるので、
大学ではFIT2023で論文賞を勝ち取り研究できますアピールをし、
会社では生成AIサークルを作って社内知名度の向上に努めている。

今の所それなりに上手くいってるように見えるが、もうすぐ1年経つにしては査読付きの投稿とか出来てないし、プロダクトでも別に生成AI使えてないので今年度中にもう一踏ん張りしたいところ。

同時に、生成AIとかLLMについての何でも屋をX(旧Twitter)上で目指してるので、何かあればご相談下さい。今なら無料で、
現役社会人博士後期課程機械学習エンジニアに相談できちまうんだ!

※使用上の注意

注意書きは最後に書いてあるもの、ということで、
自分のケースはかなり周囲の理解がありラッキーなケースだったなという自覚があるので、お読みの方で社会人博士後期課程とか目指している方が居れば、
まず周囲に相談してみるところからお勧めします。

業務・研究の分野によっては拘束時間が長くとても両立できないケースも多分にあろうかと思いますので、このルート以外の選択肢も検討する余地はあるかと思います。

社会人博士はいいぞ、というより、社会人博士はこんなだぞ、という報告ベースの気持ちで読んでもらえたらいいなという気持ち。

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