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グレートリセットがもたらす変化と未来 #Makuakeミライカンファレンス2021

2021年9月12日に行われたMakuakeミライカンファレンス2021。「ミライを創る挑戦者が集い、ミライについて考える」というテーマのもと、Makuake実行者様や各分野のプロフェッショナルを招き、さまざまな業界の未来について語ったイベントの様子をレポートでお届けします。

オープニングを飾ったのは、株式会社マクアケ 代表取締役社長の中山亮太郎の講演。「Makuakeの目指す未来」をテーマに、価値観のアップデートを意味するグレートリセットの考え方について語りました。

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「価値観」や「経済」をアップデートする

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マクアケ代表取締役の中山です。本日の私のオープニングトークはマクアケだけのことではなく「グレートリセットがもたらす変化と未来」というテーマでお話ししたいと思います。

今年は残念ながらダボス会議が行われませんでしたが、もし行われていた場合テーマは「グレートリセット」だったと言われています。何かというと、”これまでの価値観や戦後経済のあり方を大きくアップデートしていこう”ということや、”フラットな前提で物事を考えて、持続可能な社会をどうやって実現していくか”といったことを、世界が考え始めていく転換点です。

本日は、このグレートリセットがどのように行われていて、私たちの近い範囲では何を考えていけば良いのか、最近私が考えていることを皆さんにもシェアできればいいなと思っています。

過去に起きたグレートリセット

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まず、産業革命が一つのグレートリセットだったと思います。戦後フラットになった時代で、どのように新たな経済を作っていくかというリセットでした。また、90年代後半からはIT革命も非常に大きなグレートリセットでした。そして今、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、世界はまた一つ、グレートリセットをしていきます。

その中でも大きなテーマとなるのが「オンラインとオフラインのグレートリセット」。巷ではDXというバズワードになっていたりもしますね。もし、世の中の経済の最初からインターネットテクノロジーというものがあったとしたら、世の中はどういうサービス構造・経済構造になっていたのか。それを遡って考えるタイミングになってきています。

その中でも、モノが生まれてから人の手に届く流れ、流通市場のグレートリセットにフォーカスしたいと思います。

オンライン化が流通にもたらした影響

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コロナ以前から、eコマースの普及といった一次流通(在庫を前提としたお店を持つ流通)のオンライン化は始まっていました。二次流通(中古品流通)も、ヤフオク!やメルカリなどでオンライン化が進んでいたと思います。

しかし、このコロナの最中に一次流通のオンライン化はさらに進み、多様化しました。amazonは、世界最大の流通、ウォルマートの売り上げを昨年1年間で超えたと言われています。この巨大モールの台頭の中でさまざまな動きが起きていて、amazonの中で売り上げを上げていく新興メーカーが続々と出てきました。Makuakeを使ってくれていたAnkerさんはその代表例の一つです。

さらに、こうした新興メーカーを束ねていくホールディングカンパニーのような会社も出てきています。「THRASIO(スラシオ)」という会社が有名ですが、大手モール内で活躍している新興ブランドを束ねていくロールアップ企業が日本にもおそらく出てくるのではないかと思っています。

他にも、全ての事業者さんがeコマースをやっていかないといけない状況がコロナ禍で加速したため、Shopifyのような自社サイトを構築していく便利機能を提供する会社も世界的に大きくなっています。

「今売れる商品」を作り届けるための流通

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二次流通の生態系もどんどん変わってきています。一つはサステナブルの波、捨てない消費です。オンラインを使って流通させていく流れもありますが、面白いのは「売れることを前提とした購入の意思決定」。もともと不動産や自動車はいくらで売れるかを計算しながら買うものだったと思いますが、それ以外にも洋服やカバン、いろいろなものに対して売る時のことを前提とした購入の意思決定という考え方が拡大しています。最近新しいのが、「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」と呼ばれる、デジタルなアート作品やゲームなどを二次流通させていく仕組み。そして、他にも世界的な盲点がありました。

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それは、0次流通のオンライン化です。0次流通は商品を作る、デビューさせる前のやりとりのこと。卸と小売の仕入れ交渉や、展示会での新作お披露目などがこれまでの0次流通でしたが、ここのオンライン化はほとんど進んでいませんでした。そこで、このアナログな取引形態をオンライン化するというのが今後注目される領域だと思います。世界的なトップ企業であるアリババも、実は0次流通から始まった会社です。ヒット商品を生み出すためには、0次流通においてテクノロジーを活用しきることが必要な時代になる。逆に活用できれば、それが強みになる。そういった商流になると考えています。

0次流通とテクノロジーの活用

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一つは新商品の企画。流通の前の企画段階でテクノロジーを活用していくという部分です。最近は消費のデータベースやSNS、メディアなどを活用して何がヒットになっていくかを予想しながら商品を作ることが可能になっていますよね。また、SNSでのコミュニケーションを通じてファンを作り手として巻き込んでいくという流れもあります。

9/11のMakuake Award2021でノミネートさせていただいたdripというカバンの会社は、インフルエンサーとしてファンを巻き込みながら新しい商品を作りました。どんな人が買うか、なぜ買うか、という検証のクオリティを上げていくことで、新商品のデビューにおけるリスクを下げられる時代。だからこそ、新商品の企画においてテクノロジーの活用はマストになっています。

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二つ目は、商品をお披露目する場面でのテクノロジーの活用です。従来オフラインで行われることの多かったお披露目を、オンラインでもできるようになってきました。それだけでなく、卸や小売のバイヤーさんとのやり取りにも、オンラインでのコミュニケーション手段が増えてきています。

あとは国内だけでなく、海外の消費者にもアプローチしやすくなっているという流れです。国内の1億3000万人だけでなく、世界の70億人を前提とした商流づくりが考えられるようになる。つまり、テクノロジーの活用は新商品の流通において重要なテーマなのです。

消費者の変化が0次流通を変える

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この商流、現在の事業をそのまま加速して売れるのであればどんどん活用したいと思いますが、売り手だけの押し付けだと受け入れられないのが難しいところです。そこで重要なのが、消費者サイドの価値観のチェンジ。コロナ以前から変わってきた、消費者の考え方を考慮する必要があります。

一つは、趣味嗜好が加速度的に多様化していること。SNSが当たり前の時代となり、マスメディア以外にも、個人の好きな情報が受動的に入ってくる時代になっています。そしてもう一つが、異なる価値観の許容が当たり前になっているということ。LGBTQの話はもちろん、さまざまな価値観を当たり前のように許容しないなんて良くない、という時代に変わってきました。

その中で、ファッションという言葉の意味合いも変化しています。昔はファッション=服装や音楽の趣味といった狭い範囲の意味合いでしたが、最近はお金や時間の使い方に対してどんな理由を持っているか、どんな価値観を持っているか、そういったものを全て含めてトータルなものがファッション。それが自己表現につながっているという変化を感じます。

だからこそ、商品を生み出す際にも、特徴やこだわりだけでなく、作られている背景や作り手の考え方などを語ることが必要です。私たちの「応援購入」という言葉はまさにそういった時代の背景から考えられた言葉です。少数のニーズかと思われていたニッチアンドディープな商品が、逆に勝ち目を帯びてくる時代になりました。でも、ニッチやディープなものだけだと生活はなかなか不便。ですから、流通や消費は2極化してきていると思います。

まずは、従来のあり方でいう大量生産・大量消費を前提とした投網型のマーケティング。マスに向けて作り、マスに流通させ、マスに買ってもらう。例えば、ペットボトルの水などがそうではないでしょうか。あまりこだわりを持たない、とにかく必要なものなので投網型のマーケティングは合っています。一方で趣味嗜好が細分化されたことにより、こだわりのある消費も出てきています。これに対しては、狙い撃ちに生産し、狙い撃ちに流通させていくライフル型のマーケティングが重要になってきます。従来のオフラインを前提にした商流ではなかなかできませんでしたが、オンラインのフル活用によってニッチアンドディープをターゲットに届けることができるようになってきています。これはまさに、マスからのグレートリセットです。

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もし、ターゲットがあることを前提に流通市場が出来上がったとしたら一体今はどうなっているのだろう。オフラインだけの時代の名残で起きている非合理な流通形態はまだまだたくさん残っているので、そこにメスを入れ、テクノロジーを活用していくことが求められます。必要とされる商品が合理的にしっかり届けば、消費者も嬉しいし、企業も高い粗利率で潤っていける。サービス提供と消費者の満足度が、持続可能な関係になっていくでしょう。

0次流通に対するMakuakeのアプローチ

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最後に、これまで話した考え方に対するMakuakeのアプローチをご紹介させてください。

商品企画でテクノロジーの活用ができる、という部分についてはすでにMakuakeの一部で進め始めています。Makuakeの中でも流通や世に流れている情報のデータベースを解析して、研究開発を行う企業に対して次に何を作るか提案する実験を開始しています。非常に精度の高いデータが出てきているので、これを一部の会社だけでなく全ての会社に提供できるようにしていきたいと思います。商品デビューの場でのテクノロジー活用はMakuakeの本丸、皆さんもご存知の通りすでにやっていることですが、今月始めたグローバルバージョンの「Makuake Global」は日本の素晴らしい商品を世界でも応援購入できる仕組みですが、これは日本だけでなく世界の商流に対してどんな可能性が考えられるか、という挑戦です。

最後にもう一つ、応援仕入れサービスというものを数ヶ月前にリリースさせていただきました。小売やバイヤーとの関係にオンラインを活用していくサービスです。作る前に消費者だけでなく、売ってくれる人までゲットできる、そんな仕組みを作ることで、新たな挑戦に対してのリスクを下げ、チャンスを広げていきたいと考えています。そうすることで、私たちのビジョンである「生まれるべきものが生まれ 広がるべきものが広がり 残るべきものが残る」世界を1日も早く実現していけるよう頑張っていきます。この商流作りは、私たちだけではできません。挑戦してくれる企業さん、応援してくれる消費者さん、繋いでくれるバイヤーさん、パートナーの皆さんなど360°のエコシステムを通してできる新しいチャレンジです。社員やステークホルダーの皆さんだけでなく、全ての人と一緒に作っていきたいと思いますので、ご協力いただけたら嬉しいです。

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