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コロナで変化した消費とコミュニケーションのあり方 #Makuakeミライカンファレンス2021

2021年9月12日に行われたMakuakeミライカンファレンス2021。「ミライを創る挑戦者が集い、ミライについて考える」というテーマのもと、Makuake実行者様や各分野のプロフェッショナルを招き、さまざまな業界の未来について語ったイベントの様子をレポートでお届けします。

『変化する消費のカタチ〜未来を良くする選択とは〜』のセッションには、ウェディング ライフスタイルプロデューサーの株式会社YUKOWEDDING CEO黒沢祐子氏、株式会社ビームスの上席執行役員/経営企画室室長の山﨑元氏、チョコレートの製造、販売を行うMinimal - Bean to Bar Chocolate-(ミニマル)代表の山下貴嗣氏の3名が登壇。

コロナで変わったライフスタイルや消費動向について紐解きながら「変化した消費者にどのように対応していくか」が語られた。モデレーターは、株式会社マクアケ共同創業者/取締役の坊垣佳奈氏が務めました。

変わりゆく消費者と業界の意識

坊垣:
マクアケは8周年。コロナの中でも、Makuake自体はユーザー、実行者ともに増えています。また応援購入いただく分野の変化を通して消費者の皆さんの変化も身近に感じています。今回は本日最後のセッションということもあり、このような変化に対して私たちはどのように対応していけば良いのかを総まとめ的にお話しできればと思います。それではまずゲストの皆様、自己紹介をお願いします。

黒沢氏(以下、敬称略):
私はウェディングプロデューサーの仕事をメインで行っています。昨年、コロナきっかけで鎌倉に移住し、ライフスタイルに関わるインテリアやファッションのスタイリングなど、新しい仕事も始めています。ファッションに着手したのは、自分が鎌倉と東京を行き来する中で、シワになりにくく自宅で洗える素敵な洋服があればいいなと思ったから。2021年の春から作り始め、期間限定で9日間の完全受注生産で販売をしました。

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坊垣:
私もワンピースを購入しました。お洋服に関しても、サステナブルとか、その洋服を身につけることが幸せかどうかなど、心地よさの概念が進化しているように感じます。

それでは続いて、山﨑様お願いします。

山﨑氏(以下、敬称略):
BEAMSで経営企画をやっている山﨑です。いま、マクアケさんとコラボして社内のビジネスモデルコンテスト「マクアケグランプリ」を開催しています。多数応募があった中から6案のプロジェクト実行が決定しました。ビールや子供用の知育玩具、沖縄のかりゆしシャツまで幅広いものが出ているので「BEAMS Makuake」で検索してみてください。

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坊垣:
Makuake自体、トライアル的に何かを始めやすいサービスになっています。受注生産の仕組みであると同時に、どんな方の反響があるのかなども確かめられるため、若手の方の新しいチャレンジにすごく向いていると思います。

山﨑:
このコンテストを行った背景も、消費者の変化により小売業が変わっていかなければならないという状況があったので、僕らも変わるために一つひとつ勉強させてもらっています。

坊垣:
続いて山下様お願いします。

山下氏(以下、敬称略):
Minimalというチョコレートブランドをやっている山下です。私たちの特徴は、原材料のカカオ豆を赤道直下の国に直接出向いての仕入れから、作るところまで全て自分たちで行っているということです。2019年、新しいコンセプトのガトーショコラ専門店を出すにあたり、Makuakeで会員を募集させていただきました。1600名ほどからご支援をいただき、お店が立ち上がる前に1000人以上のお客様がいるという贅沢な状態から始めることができました。チョコレートが売れないと言われる夏でも、店の前に人が並ぶような状態になっていて、Makuakeのおかげでファンが連鎖的に広がっていることを実感しています。

◆Minimalのプロジェクトページ

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コロナ禍で感じる小売業の変化

坊垣:
山﨑様はビームスという大きなブランドで、たくさんのお客様と接する中で感じる変化はありますか?

山﨑:
一番大きいのは入店客数の減少。2021年の上半期は、2019年に比べると3割以上減っています。その代わりにデジタルは伸びていて、傾向として感じるのは「人」が見られているなということ。ショップスタッフのコーディネート投稿を約10年前からやっているのですが、スタッフ3000名の投稿を見て買ってくださる方が多くなりました。現在は、ECの売上の7割がその投稿を通して購入されています。

ビームスのスタッフってすごく面白くて、イケメンや綺麗な人もいますが、大柄な男性とかもたくさんいる。どのような体型でも、こうすればオシャレに見えるんだというのをモデルを通じてではなく、リアルに伝えられていると思います。

リアルな発信が、消費者の共感を生む

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坊垣:
黒沢様のインスタは何万人ものファンの方が見ていらっしゃいますが、ライフスタイルだけでなく、その奥にある内面的なものが共感を呼んでいるように感じます。

黒沢:
気をつけているのは、常にリアルであること。オンとオフの違いがなく本当にそのままなので、そこに共感して結婚式を依頼してくださることが多いです。ただ、コロナを機に手がける結婚式は10分の1に減ってしまったことがきっかけで、自分の幸せについて向き合った期間がありました。その結果、1ヶ月で鎌倉に引っ越し、家にいる時間も長いのでインテリアにこだわってみたり、趣味でやっていたファッションスタイリングを仕事したいと感じるようになりました。

坊垣:
山下様は移住ではないですが、原料を求めに現地に行かれることが多いですよね?私はそこにリアルを感じるのですが、どういう想いで現地に向かわれているのでしょうか。

山下:
そうですね、私は海外のジャングルに行って、そこに生えている実がチョコレートになるんだという感動を純粋に発信していました。昔はテレビに取り上げられなければ流行らなかったけれど、今は情報の非対称性がないから私みたいなマニアックな情報にお客さんがリーチしやすくなったんですよね。そうすると私のことをSNSで見つけてくれて、ちゃんとチョコレートの豆を買いに行っているというストーリーを知ってくれる人たちがいる。その人の生き様などに共感してプロダクトを買うという行動が増えてきていると思います。

坊垣:
マス的なコミュニケーションは効かなくなっていますよね。オンラインの時代になって皆見ているものが違い、情報が選択できる中で、情報から感じ取ることも多様化している。すると良い面もそうですが、悪い面も見つかりやすくなっていくと思います。私、サステナブルやSDGsが進んでいる背景ってそこにあると思っているんですよ。良いことも悪いこともバレちゃうから、負の状況を発生させている企業を信頼できるかとか、そこのものを買うことで加担することにならないのかといった感覚が、この時代になったからこそ生まれてきていると思っています。

アパレルの領域って、サステナブルというテーマが上がってから結構時間が経っているかなと思うのですが、BEAMSさんは企業としてどう向き合っていますか。

山﨑:
企業としては、昨年サステナビリティ経営方針というものを定め、ミッション・ビジョンとともに大切にしています。皆洋服が大好きなので、洋服を無駄にしたいと思う人はほぼいない。そこで「つづく服。」というキャンペーンが始まりました。自分の大切な洋服を他の人に受け取ってもらったり、修理して使い続けたりしようというニュアンスで行っています。

坊垣:
BEAMSさんは若いターゲットも含んでいるかと思いますが、いわゆるZ世代の変化を感じることはありますか?

山﨑:
中学生とかを見ていると、IKEAのバッグに自分の服を入れて古着屋さんで売ってきて、翌週の服を買って帰る。そんな行動を毎週繰り返している人も結構いるようで、服を所有する感覚が薄くなってきていると感じます。

坊垣:
このテーマ、山下様にも投げかけたいのですが、ものを買うときのかっこいいとかクールという感覚も変わってきているように思います。いわゆる見た目がかっこいいだけでなく、その背景にあるものも含んだかっこよさ、クールみたいな概念が若い方に広がってきているんじゃないでしょうか。Minimalはその意味ですごくクールだと思うのですが、その辺りの考え方をお聞きしてもいいですか?

山下:
同感ですね。チョコレートなのでZ世代のお客様も多いですが、キラキラした宝石のようなものも当然好きだけれど、私たちのようなミニマルなデザインで、チョコレート屋らしくないけれど、フェアトレードやっていますというこだわりを知るとそこを愛してくれる印象です。
Z世代に関して思うのは、クールを簡単に着脱するということ。SDGsやサステナブルに関してもクールだとは思うけれど重く捉えていないし、義務的にやらないとというよりは、自然体で当たり前にやるべきことだと認識していると感じます。自分のクールをどんどんシェアして、シェアされたものはどんどん受け入れるという自由な感覚があると思っています。

オンラインとリアルの境界が消えていく

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坊垣:
オンラインツールって本来距離感は遠いはずなのに、ちゃんとコミュニケーションが取れるツールでもある。BEAMSさんがこの変化の時代に合わせてコミュニケーションで工夫していることはありますか?

山﨑:
デジタルツールを使った接客は色々やっています。最近はオンライン予約で1対1の接客をすることもありますね。オンラインではお客様のワードローブを見せていただけるので、お持ちのアイテムに合うものを提案でき、結果お客様にも満足していただけるようです。ライブコマースはまだ発展途上ですが、今後はスタッフ全員がどこでもライブコマースを始められるように広げていきたいです。

坊垣:
山下様はデジタルツールの活用含め、行列に並ぶお客様をどこから連れてきているのでしょうか?

山下:
デジタルで知った人がオンラインでも買うし、お店にも行ってみようと思ってきてくれている傾向があります。逆に、お店に来てくれた人が後でデジタルを見てくれることもあるので、デジタルとリアルがシームレスになっている感覚を感じます。このシームレス化がうまくいくと、お客様がデジタルとリアルを通してのコミュニティに入ってきてくれるので、より強い繋がりが生まれると思います。

坊垣:
コロナの影響で、リアルな場所は新しい使い方を考えることが重要になっていると思います。黒沢様は、お洋服の受注販売のときリアルの展示会をやられてましたよね?

黒沢:
このご時世なので対策をしっかりして開催しました。リアルで触れていただくことももちろんですし、来ていただけない方には自分がマネキンになって、オンラインでコーディネートやサイズ感をしっかり伝えるようにしました。モデルさんが着るとすごく素敵に見えるけれど、結局着るのは一般人。私が着た方がリアルだと思ったんです。お客さんの写真を撮らせていただいて、身長やサイズを並べてひたすら発信したりもしましたね。

坊垣:
お洋服と同様に、食べ物も食べてみないと分からないのでリアルさが必要だと思います。でも一方でオンラインで買えた方が楽でもあるから、そこを使い分けていく必要はありますよね。

山下:
やっぱりお客様はリアルを求めていますよね。デジタルとリアルの共通ワードとしては、個人的な繋がりが重要ということでしょうか。さっきの黒沢さんの話もそうですが、体型が近いから自分に似合うかもしれないとか、自分に近づけて考えられるやりとりがあることで、ブランドのファンになっていく。そのプロセスを、デジタルでもリアルでもやっていくことが必要ですよね。

坊垣:
確かにそうですね。本日いらっしゃる皆さんはリアルに発信をしているし、それぞれが思っていることをブランドや日々の行動に反映されていて、今の時代にもそういった行動が求められていることを強く感じました。ありがとうございました。

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