#4 (無題1)

イスタンブールで友達が
死んでしまったのと そんな話
思い出話に出来るのはいつのことでしょうか
今日は空が青くて 2月なのに暖かで
信じられないな あなたのいない世界

美術館の水に打たれる石
あふれる水の波紋が
みんなの隠した涙のよう
わたしの心に降る涙と同じ景色だから
嘘みたいよ 現実なのに

悲しげなあの人は そんな悲しみ
きっとわたしよりも知っているから
気丈なふりで 今日を過ごす

わたしもどうすることも出来ず
ただぼんやりと思うだけ
そして涙にじませる

このありきたりな世界の中で
わたしの悲しみは みんなの悲しみは
何処にも行き場のない想い

もっともっと
したいこと
いっぱいあったのに

手が冷たい

(1993)

※【解説編】はこちら

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