【解説編】#36「知りたいけれど」

 # 34「幸せ」に戻ってからの流れで、またここでも「幸せ」についての詩をあげてみることにしました。

 この詩もまた、大学生の頃、「幸せ」ってなんだろう…と考えていて書いた詩になります。

 「この先本当の不幸が来たなら…」と自分はまだ「本当の幸せ」を知らないようなていで書いていますが、わたしはこの時「本当の不幸」を知ってしまっていたので、「本当の幸せ」も知っていると思って書いていました。

 この詩は、わたし自身が考えている様にとらえてしまうとは思いますが、わたしではない別の ‘’「本当の不幸」を知らない子 “ が考えている気持ちなのです。

 わたしの知ってしまっていた「本当の不幸」とは、4歳の時に2歳下の弟が、お昼寝中に心不全で亡くなってしまった事です。一緒に遊んでいて眠くなり、一緒にお昼寝したのに、弟だけがそのまま二度と目を覚まさなかった…。その時から、わたしの人生は、わたしの家族の人生は、「本当に幸せな人生」では無くなってしまった。

 「本当の幸せ」について考える時に思い起こすのは、宮沢賢治さん著の『銀河鉄道の夜』のお話です。宮沢賢治さんも妹さんを亡くしていて、それが作品に影響を与えているというのが良くわかる気がしています。『銀河鉄道の夜』はアニメ映画や演劇など、様々な形で表現されていて、わたしもそれらをいくつか観てきましたが、いつも「お母さんは、ぼくを許してくださるだろうか」のセリフで泣いてしまいます。弟もそんなふうに思っていたかもしれないと思ってしまって。

 わたしがいろんな事を考えて、詩やいろんな事を書いたりするようになったのは、やはり弟の事が大きかったと思っています。何しろ小学2年生の時に授業で書いた自由作文を『人が死ぬということ』というタイトルで書いたくらいなので(^o^;)(この作文は先生に選ばれて作文コンクールに出されたのですが入選には至りませんでした。やはり小2にしてはテーマが重すぎたとしか思えませんw入選すると冊子に掲載されるのでw)弟が亡くなったあの日からずっと「その事」を考えずにはいられない人生となってしまいました。その状況はもちろん良くはないのだけれど、受け入れざるをえない運命というか宿命だったのです。

 松本隆さんも妹さんを亡くしていて、妹さんを亡くした後に書いた詩にはその影響も大きく、「自分の詩が ‘’やさしい‘’ と言われるのはそのせいかもしれない」ともおっしゃっているそうです。

 それでもわたしはやっぱり、今この瞬間だって思ってしまう。たとえ詩なんて一文字も書けなくても弟がずっといてくれたら良かったのにと。その気持ちは、わたしが死ぬ時まで変わらない。

 次は、そんな弟の事を想って書いた詩を載せようと思います。

 最後に、またひとつ、わたしの好きな曲「ダイヤモンドクレバス」を紹介したいと思います。この曲はテレビアニメ『マクロスF』のエンディングテーマとして作られた曲です。天才菅野よう子さんの素晴らしい曲の1つです。コンセプトとして「大切な人との別れ」を歌った曲ということもあり、初めて聴いた時から胸がいっぱいになって、歌詞のとおり涙が溢れて止まりませんでした。いろんな事があってどうせ詩を書いているなら、いつかこんなふうに人の心を揺さぶるような詩を書いてみたいと思ってやっています。(歌詞も掲載させていただきますので、ご存知ないかたは、ぜひ読んで!聴いて!みてくださいね!)

~fin

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