【解説編】#13「インテリア」

 重い詩が続いてしまったので、このあたりで、これもわたしが自分自身でかなり気に入ってるw軽やかな?ラブソングをあげたいと思います。これは# 1の解説にもちょこっと書いている、大学の同じゼミの先輩や同級生とのやりとりの中から発想を得たストーリーでして。同じゼミの先輩にほのかな恋心があり、この頃それをネタに詩を書いたりしていたことはこちらにもちらっと書いているのですが↓

さて…と毎回始まるお話ですがw前回の更新からすでに5年も経っていたとは!!!その間消息を絶っていたというわけではなくw...

Posted by まくたくま on Sunday, November 10, 2019

 さて、どんな具合に発想を得てネタを膨らませてwこのカタチになったのかといいますと…


 大学の時の研究室は理系で実験機材等もあったのでその機材置き場をゼミ生が勉強部屋としても使ってるような部屋がありまして、その1つが「地震計室」と呼んでいた部屋でした。(文字通り地震計が置いてありましてw先述のFBに詳しくありますが地震学の研究室におりました。)その「地震計室」に集っていたメンバーは7人くらいでした。理系の研究室ということで眠さをおしてレポート等を書いたりしなければならないこともあり、その部屋では持ち寄った共用のインスタントコーヒーを飲んでいたのですが、中でわたしの同級生だった女の子がかなりのコーヒ好きで、確かその子がその部屋でドリップしたレギュラーコーヒーを飲みたいと言い出したんです。そうしたら例のわたしがほのかに気に入ってた先輩が、家に使ってない?コーヒーメーカーがあるから持ってくるとなってしばらくその先輩が持ってきてくれたコーヒーメーカーでコーヒーを入れてみんなで飲んでたんです。そうしたらその先輩が自分の研究の関係で別の同じような部屋(ちなみにそちらには測量の機材が置いてあったので「測量部屋」と呼んでましたw)にいることが多くなって「コーヒーメーカー返してよ」と言って測量部屋にそのコーヒーメーカーを持って行ってしまったんです(確か)。それで「地震計室」には別の同室の先輩が別のコーヒーメーカーを持ってきてくれたと思うんですが、最初にあったコーヒーメーカーと一緒にわたしが気に入っていた先輩も以前よりその部屋に顔を出してくれなくなり、なんだか淋しいなぁという残念な気持ちから思いついたストーリーでした。

 そんな出来事からこんなお話を作れちゃうなんて我ながら自分でもびっくりwどこからどう思いついて出てきたんだか、て感じでもあるのですがw

 さて毎度の敬愛するユーミン様語録でもあるのですが、ユーミンが確かエッセイ本で、「恋愛モノの詩を書くとプロデューサーでもある旦那さんが「これはいつの事なんだ?」みたいに現実を勘ぐって来たりするけれど別に実際にそういうことがあってそれをそのまま書いてるわけじゃないから」と言っていて、つまりはそういうことなのです。それを読んでわたしもそういう手法で書いてみるようになったのか、自然とそういう発想があったのかは今となってはわからないのですが。またユーミンは「恋愛の歌詞でも、その恋愛のことだけを書きたいと思って書いているわけではない」というような事も言っていて、わたしもそれはまったく同じなのです。この詩で言えばただ「わたし」と「あなた」の恋愛模様を書きたかったということではなくて、最後の2行に凝縮されているのですが、なんともあともう少しで思い通りに上手くいかない人生のじれったさのようなものを書きたかったのです。

 わたしが詩を書くのが好きなのは「詩」の持ってる表現の幅のようなものにあると思うのですが、「小説」だとある程度の結論を決めないといけないし、「短歌」だと読み手に対しては余りにも内容が抽象的で。その点「詩」はこの詩のようにストーリーがありながらもその先の物語は「続く…」に出来る事が自分が「詩」を書くのが好きな理由なんじゃないかな、と今は思っています。実際の人生も死ぬまで常に「続く…」の状態だと思っているので、結論を決めないストーリーの方がよりリアリティーがあると自分は感じているからかなと。結論に限らず詩の場合、そもそもの導入からそのシーンに至る説明はなく、この詩の場合も「わたし」が「あなた」のコーヒーメーカーをどのような経緯と状況で自分の部屋に持ってきてしまったのかは読み手の想像に委ねられているわけで。この詩も自分で読むたびにここに出てくる「わたし」と「あなた」のお話が自分の中で変わっているような…そしてこれを読んでくださったわたし以外の誰かもわたしとはまた違うお話しが見えているのかも…なんて風に果てしなく広がっていくような世界が数行で書ける。そんな「詩」の魅力に惹かれているだと思うのです。

 さて、最後にこの詩の具体的な解説をもうちょっと。
 ここで自分の好きな「あなた」の事を「インテリア」と表現しているのは、本気でそんなふうに好きな人の事をモノとして扱ってるようなサイコパスw的な事ではなく、「あなた」を好きな事に対する照れ隠しとしての表現です。(要はツンデレ!?)そしてつまり「インテリア」というタイトルは=「(わたしの)好きなあなた」ということです。

 「(あなたの)コーヒーメーカー」についても=「(わたしの)好きなあなた」という表現を含ませていて、「わたし」の部屋にコーヒーメーカーがあるのが「とても似合ってる」というのは「わたし」の部屋に「好きなあなた」が一緒にいることが「完璧に相応しい」と「わたし」が思ってるということで。ここに出てくる「わたし」と「あなた」はわたし的にはまだ付き合ってはいない状態です。だって自分が貸した(か強引に持って行かれたかした)コーヒーメーカーを「返して」なんてまんま言っちゃうくらいに「わたし」からの好意に対して鈍感な「あなた」なのですから。「わたし」の好意に気付いてそれに応えてくれるならコーヒーメーカーは「あげる」というか、なんなら「キミのとこにしかコーヒーメーカーがないからキミの家に飲みに行くよ」なんて洒落たセリフの1つでも「わたし」は期待してるというのに。コーヒーは朝目覚めてから飲むという含みもありますしね。それとももしかしたら「あなた」も「わたし」に好意を持っているのだけどそれを悟られるのがテレくさくてわざと「返して」なんて言ってしまったのかもしれないけれど。そんな「わたし」が「あなた」をとても好きな事を「あなた」が気付いてくれないかなと心待ちにしつつ、でもそんなふうに人生はトントンと上手くは運ばないよねということを書いた詩です。

 さてこのお話の続きは…「わたし」の願い通り「あなた」が「わたし」の想いに気付いてくれるのか、それともそれを待ちきれずに「わたし」から「あなた」に想いを告げるのか、はたまた「わたし」が強引に?「あなた」のコーヒーメーカーを持ってきてしまったように「わたし」が「あなた」を強引に部屋に連れ込んで!?しまうのか!?そもそもその結末はハッピーエンドとなるのか??結末のわからないお話の続きは楽しみでいつ考えてもわくわくします。

~fin

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