#5 (無題2)

めそめそしてるわたしなんて
あなたは嫌いだろうと思ったから
今日は白いタイツ
白いミニスカート
白いコートで決めました
ポップな歌を口ずさみ
軽くステップ踏んでみる
3日前に死んだあなたのこと
幸せでいるかしら?なんてどうして
こんな青い空見上げて考えたの?
変なわたし

4日が過ぎて初めて
声をあげて涙した
何気なく見たテレビのクライマックスにつられて
どうしてこんなに涙が出るの?
何かをはっきりわかってきている
泣いていてもわたしは冷静
「わたしは悲しい」と
その理由を知っている

人の死について考えた 今までのことを
全部おさらいしだしてるわたし
わたしは死を引き付ける人でしょうか
そんなことではないはず
命は生まれ失われていく
21年生きてようやく
その流れ感じてきただけ
わたしもその流れの中生きてると

ある小説家の書いた
お気に入りの言葉思い出した
『死は生の対極としてではなく、その一部として存在している。』(※)
この話には続きがあります
ここには記せないほどの深い深い
それはその小説を読まなければわからない

心の中の景色が見えるのです
溢れるような涙の湖
それは静かな美しさで
わたしを惹き付け
永遠にそのままの姿で
存在することをはっきり示している
その美しさは
失いたくないとわたしに思わせるけど
その悲しさは
決して触れたくないと思わせる恐怖
薔薇にある刺を それでもわたしは 握りしめて離せない
溢れる赤の美しさに惹き付けられたまま
何処かで痛み感じながらも

ひどい仕掛けを
神様は人の心になさったものです
ひどい仕掛けを

(1993)

※【解説編】はこちら

※『』内の引用は村上春樹 著『ノルウェイの森』より

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