私の家はゴミが捨てられない。(前編)
私が住む街メキシコ、San cristobal de las casas通称「サンクリ」は山々に囲まれた盆地の真ん中あたりを中心地として広がる標高2200メートルという富士山5合目に匹敵する高さにある街。
大きくもなく、小さすぎず、先住民と外国人の多い不思議な街。
大好きな街。
私がこの街を初めて訪れたのは2011年の12月。
世界一周の旅ももう終盤、お金もなければ時間もあまり残されてなくて、ほんの2週間くらいしか居れなかったのにもかかわらず、とても濃い毎日を過ごさせてもらいました。
先住民の方々の手仕事が盛んで、手作りの温かみのある品々、食べ物を籠に入れて腕に抱えて歩き売りをする光景が日常で、それをお金を使って買うだけが選択肢ではなく、ここに住む人々は皆それぞれの手作りの品を物々交換しあったり、作り方をシェアしあったりするのがとても素敵だと思ったのでした。
いつかここに腰を据えて住んでみたいなあ。と、その当時胸に秘めた想い。
それから毎年のように1年のうち2、3ヶ月くらいの期間をこの街で過ごすようになりました。
暮らすように旅をするのがその当時の私のスタイルで、メキシコ、インド、NY、日本を行ったり来たりするそんな生活を5、6年続けている中で、2016年にはこの街サンクリを訪れた際、パートナーと出逢い7日間でプロポーズされ結婚する事に。
結婚当初はマダガスカルに移住出来ないかを調べに行ってみたりもしましたが、やっぱりメキシコに惹かれ、すぐにメキシコに戻り、この街サンクリストバルでの暮らしを始めました。
前置きが長くなりましたが、そうして私達はこの街に住む事にして5年目となりました。
旅で訪れ続けたこの街の印象はとても可愛らしく美しい街でしたが、実際住むとなると違った面も見えてきます。
旅中は旅人同士の繋がりが多かったですが、住むようになると隣ご近所の方々や近所の商店の主人など、この街に長く住む地元民達との繋がりの方が多くなってきます。
暮らしの中で困ったことは大概が大家さんや近所人に聞けば問題解決してくれて、とても心強いです。
私達が最初に住んだ家は、一戸建て新築庭付き物件で家賃は2500pesos、当時のレートだと日本円で15,000円程。
家賃も安いし中心地から離れていて私の好きな田舎感も最高な家でした。
しかし一つ問題はゴミ収集車が来ないエリアなんです。
もちろん自力で歩いてゴミ収集車の通る集積所まで持って行けば捨てられるのですが、この地域はゴミ収集車を待って職員に直接ゴミを渡さなくてはならないのにかかわらず、曜日こそ決まっているものの何時にゴミ収集が来るかはその日によって全然違うという無理難題。ゴミ収集車の人たちは鈴を鳴らしながら来たことを知らせてくれるのですが、うちはルートから遠い為にその鈴の音は聞こえないので、要約すると、このゴミ捨て方法だと、うちはゴミを捨てれない。
引っ越してすぐは本当にどうしようかと悩みました。
ゴミが溜まっていくって本当に苦痛です。
余談ですがその後我が家はせっかくの広い庭付きなので畑作りを始めたのですが、庭の土を掘りおこすと、以前そこに住んでいた人達が埋めたと思われる赤ちゃんの紙おむつが大量に出てきました。
絶対に土に還る訳のないものを土に埋めて出てった前の住人の心理が私には全く理解出来ないのと同時に、ああやっぱりゴミ捨てれなくて困ってたんだなあと思いました。
しかしその時問題を解決してくれたのは、近所を回るゴミ捨ておじさんでした。
週に2回ほど朝8時ごろ、ドアをどんどんどんどんと叩くそのおじさんは、ゴミを一袋10ペソで持っていってくれます。(当時のレートで60円程)
その人はその引き取ったゴミを分別し、お金になるものとただのゴミとを分けて、ゴミ処理施設へと最終的に持っていってくれるのです。
なんとありがたい存在なのか。その当時は毎度ゴミが出るたびにそのおじさんに託していました。
なのでこの頃はゴミのこと、あんまり深く考えてはいませんでした。
その後その家には2年ほど住み、引越した先が今私達が住んでる家。
なんとこの家はもっとゴミが捨てづらい。
そしてゴミを集めてくれるおじさんはいません。
以前の家の時と同じように、いつゴミ収集車が来るのかわからない上、ゴミを置いてはいけないので、車が来るのを待ってなくてはいけない。
月曜と木曜の大体11時から13時の間に来るのですが、間が2時間って思うともはや最初から諦めました。
家からゴミを持っていくにもだいぶ距離がある上に坂道。
そして最大2時間そこで待っていなきゃいけない。
すごい非効率的。
だけどなんとかしないとゴミは一向に溜まるばかり。
私はゴミを見直す事にしたのでした。
(後編に続く。
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