なぜモバイルアプリに注力すべきなのか?
もともとWeb上にてサービスを展開している場合、モバイルアプリを重視すべきなのか?そもそもアプリ開発しなくても、Webのままでも良いのではないか?というのは最初の疑問になるかもしれません。
もちろん、サービス内容次第ではあります。例えば、経費精算などの事務作業のB-to-B向けのであれば、PCのWeb中心のサービス設計となり、モバイルアプリは補助的な入力ツールになるかもしれません。
ただ、何らかの消費行動をエンドユーザーに促すサービスであれば、モバイルアプリに力を入れるべきです。
モバイルアプリの方が「儲かる」
実生活を振り返ってみると、以下のようなことは、ソファやベッドの中でスマホやタブレットのアプリを使いながら行うことが多いのではないでしょうか?
ECで買いたい商品やお買い得なものがないかを探す。
株や投資信託のチャートをみて、買い時だと思ったら注文を入れる。
SNSで面白そうな情報がないかを眺めてみる。もし、興味ありそうな本や商品が紹介されていたら詳しく見てみる。
なんとなく時間を持て余したので、ゲームをプレイしてみる。
フードデリバリーの注文をする。
生活に密着することでエンドユーザーとより深いつながりを持て、消費を促す力を持っているのがモバイルアプリの強みと言えます。
モバイルアプリの利用率や売上の高さについては、各種の調査結果や事例などでも指摘されています。
アジア太平洋地域におけるデバイス別のオンライン取引の比率は、モバイルが76%を占め、アプリの比率はモバイルWebの約2倍( Criteo「グローバルコマース調査レポート - 日本版 2018 第1四半期」 )
北東アジア(日本・韓国)ではECのアプリ経由のコンバージョン率(CVR)がモバイルウェブサイトの5倍以上だった。(同上)
モバイル消費者は、モバイルウェブの2倍のアプリ内購入を行う。 <Mobile consumers make twice as many purchases by app than on mobile web>( Button「2019 Mobile Commerce Report」 )
スマートフォンの1日あたりの平均利用時間約3時間のうち、アプリの利用が85%を占める(ニールセン「スマートフォンのアプリ利用状況」 )
アプリユーザーはアプリを使っていないユーザーと比べて、年間の平均購買頻度や購買金額が上がっている( AppsFlyer「お客様事例 - Adastria」)
つまり、サービスの収益向上に直結するのはモバイルアプリであると言えます。
ますます進むスマホシフト
2008年のiPhone登場後、スマホ利用は拡大し続けています。2014年には、スマホの普及の結果、10代の若者世代はパソコンを使わずすべてをスマホで済ますようになったという指摘まで出てくるようになりました( 日本経済新聞 2014年11月「パソコン使えぬ若者世代 卒論もスマホで」)
インテージ調査のインターネットのデバイスごとの利用率を見ると、2016年頃を境にスマホがPCを逆転し、スマホの利用が伸び続けています。また、LINEによる調査でも、2021年時点でスマホのみでインターネットを利用するユーザーが52%であり、スマホとPCの併用するユーザーは46%で、PCのみでの利用者は1%のみとの結果が出ています( LINE 「インターネットの利用環境 定点調査(2021年下期)」)
スマホネイティブであるZ世代が就職し消費力が高まる、現状スマホの利用が比較的少ない60代以上でもより多くの人がスマホを利用するようになるという傾向が進むものと考えられ、逆戻りすることはないでしょう。
モバイルアプリが成長の鍵
スマホシフト、スマホオンリー化の結果として、今後のモバイルアプリの重要さもますます大きくなると考えられます。前述のインテージ調査に「ECサービス別 利用手段の変化」という楽天・Amazon・メルカリを比較した面白いデータを見つけました。
まず、いずれのサービスでもアプリの利用は一貫して伸び続けています。このことからもアプリの重要性がわかります。
PCでのインターネット利用の時代から広く使われていた楽天、アマゾンはブラウザ経由の利用は横ばいで高止まりしています。これはサービスをPCで使い慣れているユーザーがいることに加え、Webでないと使えないような機能などがあるため併用しているユーザーが多いものと考えられます。
一方、スマホとともに発展してきていたメルカリは、アプリ中心に利用されておりブラウザ経由の利用はそれよりも少ないことがわかります。これは、Webでの機能が限定されているため、アプリのみの利用で完結しているユーザーが多いということのようです。メルカリの躍進を見る限り、すでにウェブサービスは必須ではないと言えるかもしれません。モバイルアプリを中心にサービスを組み立てさえすれば、しっかりビジネス成長できることが示唆されます。
逆にアプリでのサービスをしっかり作り込まないと、Z世代が見向きもしてくれない、あるいは60代以上のユーザーに使い勝手の悪いアプリとして敬遠されてしまうということが起こり、競合のサービスにユーザーが移ってしまうようなことも考えられます。
モバイルアプリに注力し、ユーザー体験の良いアプリを提供することがビジネスの成長の鍵となるでしょう。
まとめ
アプリのほうがユーザーの滞在時間が多く、収益も高い。
スマホシフトの波はまだまだ継続中。
モバイルアプリの重要性は不可逆的に増大する。モバイルアプリで使い勝手の良いサービスを提供することが何よりも重要になる。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?