同性婚で本当に日本社会は変わってしまうのか?

 2023年2月1日、衆議院予算委員会にて岸田首相は同性婚の法制化について「家族間や価値観、社会が変わってしまう」と述べた。「〜てしまう」という表現は普段、ネガティブなものとして扱われる。そのため、彼がこの件に乗り気でないことは明白である。
 そもそも、同性婚はそんなに悪いことなのか?人の価値観は移りゆくものである。また、全員が同じ価値観を共有しているわけではない。いろんな考えがあって今日の社会がある。その中で、「同性の人が好き」という考え方があってもいいではないか。むしろ、多様性を尊重しようという現代の風潮に乗るべきではないか。私はもちろん、この風潮を良いものと捉えている。人を好きになるという当たり前のことを他人や国家に制限される謂れはない。
 しかし、現在の最大与党である自民党議員はこのことをよく思っていない。もちろん、全員ではないが、そう思っている人は多いだろう。というのも、自民党の国会議員の多くは神道政治連盟という団体に加入している。加入していない議員で有名なのは小泉進次郎氏である。この団体は、昨年、LGBTの方々を差別する意図を持った冊子を神道政治連盟国会議員懇談会の会合で配布している。その冊子では、弘前学院大学の楊尚眞教授の「同性愛は心の病気」という発言を掲載した。
 同性愛などに本気で嫌悪する国会議員もいれば、口ではこの件に否定的だが、本当にそう思っているかどうかはわからない自民党議員もいるだろう。前者は杉田水脈などが挙げられる。後者は支持母体などの影響でパフォーマンス的に発言しているということも考慮しなくてはならないかもしれない。しかし、それでもその発言によって罪のないLGBTの方々が傷つけられることはあってはならない。
 2023年1月26日の朝日新聞DIGITALの記事(https://www.asahi.com/sp/articles/ASR1V6DG0R1VOIPE00V.html)によると、愛知県議会議員で無所属の渡辺昇氏が「同性婚が気持ち悪いと言って何がいけないんですか。世の中には同性婚を気持ち悪いと思う人が殆(ほとん)どです」とFacebookに書き込んだという。どうしようもない発言であり、本当に悲しくなるが、表現の自由に甘えたヘイトや差別は許してはならない。彼は以前の「同性結婚なんて気持ち悪いことは大反対」という発言の騒動の後に自民党を離党しているが、杉田水脈などを閣僚に抜擢する自民党の差別体質を多くの人が認識しなくてはならないと思う。
 利権や保身のためではなく、本当に人のために、社会のために政治が動く日が一日でも早く来ますように。

読んでくださり、ありがとうございます。
菅野真琴

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