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パパは脳研究者 子どもを育てる脳科学 池谷裕二

【印象に残った文章】

〇唇やあごなどの口の「周辺」で味を感じるのも、この時期ならではの能力です。大人は口腔内の舌で味を感じ取りますが、赤ちゃんは口の外の皮膚でも味を感じることができます。

〇「苦味」のあるビールやコーヒーの愛飲、仕事をしないと気が済まないアーカホリック、長距離走に恍惚とするランナーズハイも、同じ「快」の逆転メカニズムによって生じた嗜好癖です。

〇脳は、自ら決断して、積極的に行動することによって成長しますし、人間胃取って能動的に動いた時の快感は、受動的な行動よりもずっと強いものです。

〇読み書きの能力や計算力は個人差が大きいことが知られています。文字や数字が使われ始めたのは、せいぜい過去1万年以内ですから、長い進化の観点に立てば、脳回路にとって文字や数字は、突然現れた不自然なモノです。上手に扱えなくても不思議ではありません。

 ⇒人が生まれ持った脳という臓器自体は全く同じものだと思い込んでいた。「天賦の才能」のようなものは皆無ではなく、その人(あるいはその祖先)がどのように脳を使ってきたかによっても多少は左右されるのだと驚き。読字障害なども、遺伝的要素が多いよう。ただ、それも脳の別の能力で補っていくことができる。

〇頑張っている姿を見ると、つい親はほめたくなるもの。教育論的には、この場合、ストレートにほめるのは禁じ手です。「えらいね」「上手だね」などと何度もほめると、絵を描くことへの興味が急速に減じてしまうことがあります。子どもからすれば、ほめられ続けることで、「自分は絵を描くことが好きだったのではなくて、もしかしたら、ほめられたくて描いていたのかな?」と無意識に現状の解釈を変更します。認知的不協和の解消です。

〇私が家庭教育で一貫して気を使ってきたのは、①物事の本質や規則を見抜く「理解力」②先を見越して準備する「対処力」③未来の自分に投資する「忍耐力」など、社会人にも必要な能力を、本人が自らの力で身につけるように導くことです。

〇親が子どもに教えなくてはいけないことは、学校の知識の先行詰め込みではなく、こうした知恵です。

〇闇雲に我慢することほど、理不尽なものはありません。我慢には、それなりの理由と利点があるのだと教えるのです。そして、その理由を自分で説明できるように導くのです。

【感想】

 人間の脳がどのように成長していくのかが、実際の子どもの成長とともに綴られていて、読んでいてとても心温まる本でした。親として、子どもにどのように接していけばいいのかの参考にさせていただこうと思います。

 自分の育て方や、子どもに対する接し方で迷うことがあったら、この本を開いて少しずつ自分も成長していける気がします。特に「ほめ方」や「しかり方」のところは、字面で読めばわかったつもりになるものの、実際の場面に出くわすとできないんだろうなぁと思います。でもいったんはそれで良くて、またその章を読んで、次の機会にトライして親として成長していけばいいんだとも思います。

 いい本に出会えたことに感謝です。

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