大人のための読書の全技術
◆仮説作り
【タイトル・本の帯・著者のプロフィールから得られた情報】
〇効果的な読書の方法が書かれているのだろう
〇読書は「技術」でよりよく読めるようになる
〇「あたまがかたい」大人向けに書かれているのではないか
〇2016年8月12日に発行されている。わりと最近。
〇斎藤孝:明治大学文学部教授。教育学、身体論、コミュニケーション論が専門。自己啓発本を書いているイメージ
【目標・道筋・現状】
目標:読書の技術を学び、実践する
道筋:読書の習慣・速読技術・精読技術・本選びの技術・アウトプットの技術を順に学んでいく
現状:特に何も考えず、読みたいと思った本を読んでいる
◆はじめに
【質問読み】
【要約読み】
限られた時間の中で多くの本を読むために「読書術」というスキルが必要となってくる。
◆序章 社会人にこそ、読書術が必要な理由
【質問読み】
〇「意味の含有率」とは何か?
⇒ボキャブラリーが多い・思考速度が速く、活字量が多いこと。
〇筆者の言う「精神力」の意味?
⇒気分的なものではなく、一種の「技」としてとらえられるもの。「柔軟な」精神力
〇「慈悲」(仏教用語)の意味?
⇒「慈」…友達や同胞に対して利益や安楽を与えるという意味
「悲」…友達や同胞の苦を抜いてあげるという意味
⇒誰かに利益を与え、苦を取り除く行為のこと
【要約読み】
〇読書によって思考力が向上する
〇読書によって精神力としての知性が飛躍的に向上する
⇒ストレスに柔軟に対処する武器
【序章のまとめ】
読書によって「思考力」「精神力」が向上するにもかかわらず、読書をしない人が多い。
◆第1章 読書のライフスタイルを確立する
【質問読み】
〇速読すべき本(=一義的な文章)のジャンルは?
⇒新聞・新書など、テーマを絞って書かれているもの
〇精読すべき本(=多義的な文章)のジャンルは?
⇒文学作品
【要約読み】
〇読書は垂直次元の思考を深める作業であり、「水平的コミュニケーション(SNSなど)とはまったく異質の作業である。
〇読書によって得た情報や思考を、咀嚼し、自分の中で再構築していくことで、個々人の人間性に深み(奥行き)を培っていくことになる。
〇読んだ本と本とのつながりが読んだ人に大きな影響を与える
〇ハウツー本だけをいくら読んでいても、思考力は鍛えられない。
〇役に立つ読書と快楽としての読書を分けて、コスパの高い読書を目指す
〇速読モードと精読モードの2種類の読み方ができるとよい
〇著者の人格と文章をセットで読むことで自分の感性が磨かれて、それまで気づかなかったような小さいところまで気づけるようになる
【パラレル読み】
〇ロシアの思想家であるミハイル・バフチンは「ドストエフスキーの詩学」という本で、ポリフォニーとか、カーニバルといった概念を用いて、ドストエフスキーの作品について分析している
⇒「文脈」が「スキーマ」を「活性化」させて、そのスキーマが文章の処理に使われ、文章がわかるようになる とリンクする
【響いた文章】
〇喜びは自ら作り出したほうがおもしろい。受け取ってしまうものより、やったことのほうがおもしろい。だからたぶん、つくるのが一番おもしろい。たとえば音楽も、聴いているより演奏するほうが楽しめるものです。
〇まど・みちお「幸せとは何ですか」という質問に対する回答
⇒「自分が生きている現在ーその現在を肯定的に見ることができる人は幸せだと思います。」
〇ブッダ「好ましい言葉だけを選んで言いなさい。好ましい言葉だけを言っている人は、ほかの人から悪意を持たれないから」
【第1章のまとめ】
読書は垂直次元の思考を深め、人間性に深みを持たせてくれる。
◆第2章 読書の量を増やす -速読の全技術
【要約読み】
〇自分がたくさん読みたい分野の本を、集中的に何冊か読む。
〇目を早く動かしていく方法。均等にページをめくって、全部の文章をざっと見ていく。
〇全体の中で、必要な部分だけをピックアップして、そこを集中的に読む方法。
⇒達人はこれら2つをうまく組み合わせて活用している。
〇本を読む目的を設定する=今読んでいる本の内容を誰かに説明すると決める
〇本を読み終える時間的締め切りを設定する
〇最初に目次を読むことで本の概要を知り、大事なところをはっきりさせることができる。どこをしっかり読めばいいかをあらかじめ把握することで読書スピードは確実に上がる。
〇タイトルを確認して、帯、カバー袖の文章に目を通し、目次や小見出しに目を通すことで、その本全体のおおよその趣旨をつかむ
〇新書などの論説文の場合は、読む順番を変えるのも一つの方法
⇒目次を眺めて結論部分らしき章を見つけ、そこから読む
=逆算読書法
〇2割読書法…全体の2割だけ読むだけで全体をつかむ
〇サーチライト方式…本を読む前に自分の中で、あらかじめ大事なキーワードを5個か6個決めておく
⇒見つけたキーワードに次々とマークを付ける
〇同時並行読書術…10冊程度を同時に読む。読む速度はバラバラでOK。たくさんの本を読んできた人は、頭から終わりまで読んでいない本の量も多い。一冊一冊を読破することには、あまり重きを置いていない。
【第2章のまとめ】
本は知識で読んでいるものだから、読めば読むほど楽に・速く・正確に読めるようになる。
◆第3章 読書の質を上げる -精読の全技術
【要約的な文章】
〇「音読」は精読のために欠かせない技術
⇒素読(音読)の中には、正しい解釈のための読み方を学ぶということも含まれている。文章を本当に理解するには、どこできるか、イントネーションをどうするかも重要な要素であり、意味の取り方が読みの中に現れる。
⇒声に出して読むことにより、その言葉の意味が自分の内川に乗り移ってきます
〇精読の最たるものが翻訳
〇本を読むことで、自分の中に偉大な他者を持てるようになると、視野が大きく広がる
〇自分がなぜその文が気に入ったかをメモする
〇教養というものは、引用力そのものであると考えています
〇引用なしだとつまらないエッセイを書いていた学生も、引用を絡めることで読む価値のあるエッセイを書くようになっていきます。
〇人生を豊かにする読書というのは、知識だけではなくて、好きだという気持ちになれる読書であり、その内容を人に話したくなるような読書なのです
〇書き写すという作業で記憶力を増大させる
【第3章のまとめ】
〇音読・暗唱(引用)・書き写しなどは精読の技術を向上させるのに最適である。
◆第4章 読書の幅を広げる -本選びの全技術
〇どんなに素晴らしい本に出会ったとしても、自分の全部を明け渡すのではなく、その本に詰まっているエッセンスを自分なりに咀嚼し、自分のうちに取り込むべきだと思います。
〇「なんとなく憧れるけれど、自分には身に着けられないもの」がわかってきて、本選びのセンスも磨かれていくのです。
〇「知るは好むにしかず、好むは楽しむにしかず」
〇「これがどのぐらい将来お金になるかとか、そういうことを考えないで勉強するということが大切なことだ」
〇役に立つ、役に立たないなんて当人ですらわからない。それが読書の凄味です。
〇本と向かい合い、書かれていることを理解し、自分の中に取り込む・・・それこそが読書の時間だということです。
〇知的体力
【第4章のまとめ】
芋蔓式に好きな作家の本を続けて読むのもよいし、マンガもコミュニケーションの幅を増やしてくれるツールとして活用できる。ただ、電子書籍は神の本に比べて読むスピードが速くなり、自分の精神を養うのには不向きと言える。読む本によって媒体を選ぶことも必要である。
◆第5章 読書を武器にする -アウトプットの全技術
〇「アウトプット力」とは何なのか・・・それは表現する力であり、突き詰めると「コミュニケーション力」とほぼ同じものだと思います。
〇質問には会話の中身を深化させるパワーがあるのです。
〇多くの本に触れることで、知性的な言葉づかいを身につけつつ、話題をどんどん増やしていく。
〇ものごとを追及するということは、その人の言語能力を高め、同時に思考力を高めることにつながるのです。
〇レベルの高い業界のやり方を勉強して自分の中に取り入れる努力が必要なのです。
〇本を読むということの意味は、単に多くの知識を仕入れることにとどまらず、こうした新しい概念を仕入れるということでもあります。
〇本で読んだことを自分の中でいかに活用するか、いつも考え続けること。それが「概念活用力」を自分のものにするための練習の第一歩です。
〇書く技術
「デザインシート」7項目
1.対象 -対象は誰なのか
2.タイトル -テーマは何か。
3.狙い -何のために行うのか
4.テキスト(素材) -材料は何か
5.キーワード(キーコンセプト) -中心となるコンセプトは何か
6.段取り -具体的にどうやって行うのか
7.仕込み(裏段取り) -準備は何をするのか
◆全体の要約
読書はその人の精神を養い、人生に幅をもたせてくれる。ただ読むだけではその効果も薄れてしまうが、読む本の性質に応じて速読・精読などを使い分け、読んだ本を他人に伝えるつもりで読後にアウトプットする、などの行動をとることで読書の質を向上させていくことができる。
◆感想
最近職場で、「自分は二重人格だ。うつなんだ。」と自己認識している人がいます。少し前には「自分は仕事ができない人間なんだ。」と悲観的な自己認識だけだったのが、今では周りの人に対して「もうだれも信用できない。」「偽善者ぶるな。」と怒鳴るなど、攻撃的な行動が目に見えて増えてきている状態です。
この本を読んで浮かんだのはその人のことで、おそらく自分について深く掘り下げる作業=「読書」は全くしてこなかったんだろうな、と想像しました。何度か本人の問題について、二人で話し合ったことがあるのですが、かなり狭い範囲で思考が凝り固まってしまい、本人も自分のその思考の束縛から抜け出せないような印象がありました。当時は私も読書をほとんどしていない人間だったので「その時の自分」で考えられる範囲での話しかできなかったですし、結果としてあまり力になれていない状況ですが、今なら「一緒に読書をしよう」と伝えてあげたいです。
一人では馴染みのなかった「読書」に向き合えなくても、二人ならもしかしたら習慣化できるかもしれない。そして本から得られる知識や考え方、人の生き方などから自分の人生に思いを馳せ、自分の明日の身の振り方を少しずつでも変えていけるかもしれない。
今度、話をしてみようと思います。私も成長しなければ。
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