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力の概念と空間の垂直性〜横のつながりは目線の高さをそろえることから〜

「ピラミッドの頂点」という言葉から何が思い浮かぶでしょうか。

たとえば「勝者」「権力」といったイメージが反射的に思い浮かんできてしまう。これは意識的にじっくり引き出されるのではなく、反射的という他ないほどに瞬時に思い浮かんでくるものです。

空間的には、ピラミッドは垂直的な構築物で、「多数の下部が少数の上部を支える」という構造をしています。そこには非対称性が存在します。

抽象的でつかみどころがない「権力」という概念も、物理的に(視覚的に)捉えることのできる関係性の尺度に変換することで、それこそ「手に取る」ように輪郭が見えてくる。

そして、人の身体にも通常は上下があり、足や胴体が頭を支えるという構造をしています。上下関係というものを「身体の非対称性」に置き換えて十巻しているのではないか、という気がしてきます。

とすると、身体の位置関係を「垂直から水平へと切り替える」ことにより、上下を伴う力関係の輪郭が薄れ、「縦のつながり」から「横のつながり」へ感覚が移ってゆくのではないかという気がします。

地面に寝そべれば「目線がだいたい同じ高さになる」と思うと、他者が見ているであろう景色や世界の輪郭がつかめるかもしれない。

「同じ高さで景色を見る」ことにこそ「水平的な関係性(横のつながり)」が開けるのかもしれない、という気付きがありました。

力の概念を理解することが上下(垂直)の空間次元を活性化させるかを検証するために、シューバートは、「主人」と「召使い」など力関係が明確に異なる刺激のペアを、コンピュータ画面に同時に、ただしどちらかがもう一方の上にくるように提示した。シューバートは、参加者にペアのうち力のある(ない)ほうをできるだけ速く検出するよう求めたところ、力のある単語は上に提示されたときに、力のない単語は下に提示されたときに速く同定できたことを見出した。

レベッカ・フィンチャー - キーファー『知識は身体からできている 身体化された認知の心理学』

参加者に単語(たとえば、敗北と従順)の力の判断をするように求めた別の実験では、参加者は力の大きい単語が画面の上部に出てきたときに、そして力のない単語が画面の下部に提示されたときに速く反応した。

レベッカ・フィンチャー - キーファー『知識は身体からできている 身体化された認知の心理学』

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