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部分と全体・汎用性と固有性

今日は『植物は<未来>を知っている 9つの能力から芽生えるテクノロジー革命』(著:ステファノ・マンクーゾ 他)から「オオオニバスの葉は、初の万国博覧会をどうやって救ったのか?」を読みました。

植物から着想を得る。これは「バイオ・インスピレーション」と呼ばれます。今回紹介されていたのは、オオオニバスの葉から着想を得た建築物。オオオニバスの葉が持つ強靭さと豪華さを建築に活かそうというわけです。

その建築物は《水晶宮》と呼ばれるもので、一八五一年に英国で開かれた世界初の万国博覧会で建築されたものです。

彼のアイデアは、あらかじめ製造したモジュールを利用して、鉄骨とガラスでできた巨大建築物を建てるというものだ。

水晶宮の発案者は、オオオニバスの栽培に成功して花を咲かせた庭師であるジョセフ・パクストン。博覧会の目玉となる建築のアイデアを募集したもののいずれも不採用となり、期限が迫る中での起死回生のアイデアでした。

モジュール構造とは「ブロック」のようなパーツを組み立てて連結できる構造。それぞれのブロックはそれ自身が全体の中での機能を持っていて、そのパーツ同士を連結することで巨大なシステムが組み上がるというわけです。

パクストンが設計したのは、とてつもなく巨大な建造物だった。面積約七万平方メートル、長さ五六四メートル、幅一二四メートル、高さ三九メートル。サン・ピエトロ大聖堂が四つ入るほどの大きさだ。これほど大きなものを限られた時間と予算内で建造するには、あらかじめ製造しておいた同一のモジュールを利用するという驚異的なひらめきがなければ、不可能だっただろう。

モジュール構造の利点は、パーツを標準化・規格化することによりコピー(大量生産)できること。段取り替え(工程切り替えに伴う時間ロス)を抑えて、生産を効率化することができます。

全てをイチから作るのではなく、コピーできる部分はコピーしてしまう。それを「手を抜く」と捉えるのか、あるいは「全体が最重要なのだから合理的だ」と捉えるのか。

モジュール構造を推奨する前提として「つながり・全体が大切だ」という立場に立つことがあるのだと気付きました。

大量生産による建設ならそれほど時間がかからず、伝統的な壁造りの建築物に比べれば、はるかにコストもかからない。おまけに博覧会が終了して全部撤去しても、パーツをほかの用途に使うことができる。

モジュール構造の利点に「再利用できる」ことが挙げられています。それは一つ一つの部分の「汎用性」を表していると思います。

部分を一つ一つを取り出してみた場合にそれが汎用的であっても、全体として固有性を帯びるならば、その部分もまた固有性を帯びる。「意味は部分それ自身で決まらない」のだということ。

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