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小さな危険は無視して、大きな危険に意識を向ける

今日は『反脆弱性』(著:ナシーム・ニコラス・タレブ)から「90パーセント会計士、10パーセント・ロック・スター」を読みました。

昨日は反脆くなるための「バーベル戦略」について学んだのでした。

バーベルは、重量挙げ、パワーリフティング、ウエイトトレーニング等に用いられる、シャフトと呼ばれる横棒の両端に、プレートと呼ばれる円盤形の重りを付け、固定したスポーツ器具です(Wikipedia)。

両端に極端に重いものが付いている、つまり、両極端なものを「混ぜずに」組み合わせる。一つは「ダウンサイドリスクが極めて小さいけれど、アップサイドも大きくない」もの。もう一つは「ダウンサイドリスクが極めて大きいけれど、アップサイドも極めて大きい」もの。

ダウンサイドもアップサイドもほどほどのものに賭けると得てして負けてしまうことが多い。なぜならば、全てを中間のリスクのものに賭けてしまった場合、リスク評価の誤差が積み重なってしまい、損失が膨らんでしまうことがあるからです。

過剰補償が働くためには、発見の手段として一定の害とストレスが必要だ。たとえば、子どもの将来の安全を考えるなら、火を少しだけ使わせ(少しだけというのがポイント)、ケガから教訓を学ばせるべきだ。

反脆さは「過剰補償の原理」としても説明できるのでした。「ストレスを受けた際に潜在的損失を上回る潜在的利益が生まれる性質」が反脆さですが、「潜在的損失を上回る潜在的利益が生まれる」という部分は、損失がゼロに戻るどころかプラスになる、という意味で過剰補償と表現されています。

私は幼い頃に自転車を乗るのが好きでしたが、幼少期を過ごした土地は幸いにして道が広く、人も車もそれほど多くありませんでしたので、ある程度のケガを承知の上でも、自由に過ごさせてくれました。

転んだり、ケガをする中で学び、自転車の乗り方を覚えていったものです。

また、ある程度のストレスを経験させて、少し目を覚めさせることも必要だ。と同時に、大きな危険から守ることも必要だ。小さな危険は無視して、重大な被害だけから人々を守るのだ。この方法は明らかに、社会政策、医療、ほかにも色んな物事にも応用できる。

小さな危険は無視して、重大な被害だけから人々を守る。言いたいことは分かるのですが、実践するとなるとなかなか難しいように感じます。

重大な被害に対する想像力。実際にその場面に出くわした時に、自分の身に何が起こるのか想像できない。

あるいは、すぐに薬が手に入る時代ですが、だからこそ薬に過剰に依存して脆くなってしまう、ということもあるのかもしれません。小さな危険は人間に本来備わる自然治癒力の可能性に委ねてしまうほうが良いのかもしれない。

そのようなことを思ったのでした。

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