最近、松田優作さんと会った

野外の大衆酒場。
優作さんは「徹子の部屋」に出た時と同じ格好で焼酎ロックを、向かい側に座る私も同じものを飲んでいた。
「最近観た『破壊の日』って映画の龍平くん、すごい良かったですよ」
と私が言う。
「そうなんだ」
と表情を変えず、一口焼酎をすする優作さん。
「あれ、観てないんですか?俺、ドラマの『カルテット』も好きだし、黒沢清さんの映画に出た時も良かったです。デビューから観てきていますが、最近色々幅が出てきてほんと良い俳優さんになりましたよね」
「黒沢・・清って誰だ?」
「いやいや黒沢清さんですよ!ほら、この前、ヴェネチア取ったじゃないですか!」
「ふーん、知らんなぁ。あんた、いつから龍平のこと観てるの?」
「もちろん『御法度』からですよ」
「俺、観てないんだよな」
「えー!!!なんでですか!!!」
と言ったところで優作さんは龍平のデビュー前に亡くなっていたことに気づいてしまった。
「・・優作さん、すみません・・・。俺、気づかなくて。。」
「いや、いいんだよ。そりゃそう思うよなぁ。いつも観てくれてありがとな」
と優しく言ってくれる優作さん。
その言葉に涙する私。
そこへ(永井荷風を演じた時の)津川雅彦さんが通りかかり、
「優作ちゃん!久しぶり!元気?龍平ちゃん、活躍しているね!」
と声をかけた。
そこで優作さんは初めて微笑んだ。
その二人のやりとりを見て、私はなぜかさらに号泣。


というところで、起きた。
ちょっと泣いていた。

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