見出し画像

そんなに優しくできない

昨夜、福島県宮城県を中心とした地域に大きな地震があった。
実家の八戸に電話をしたところ、大丈夫とのこと。安心したが、福島がすごかったという話を聞いて、以前訪れたこともある、伯父伯母の家に電話をかけることにした。
何回かのコールの後、伯母が出た。

揺れがすごかったこと。2011年のときよりも、その地域はすごく揺れたこと。食器や、色んなものが部屋に散乱してて、余震がおさまるまで、そのままにしておくこと。
などを話してくれた。無事であったのは、ひとまず良かった。だが、話の途中で、
「そんなことより皆さん元気ですか?」と、自分たちの家族のことを聞かれた。そんなことよりって。元気ですよと答えると、
「あーよかったー。」と、本当に安心した声が耳に入ってきた。

あ。この感覚。11年前と同じだ。

11年前、2011年春に自身の結婚式を東京で予定していた。しかし、震災があってやるかどうかとても迷ったことがあった。だが、大変な目にあった東北の親戚たちが、でこぼこの道を、長時間かけて来てくれたのだ。

自分たちが大変なこと、辛いことよりも。他人の幸せを大事にしてくれる。

そんな大人にならなければと思った。
身勝手に生活していた自分が、こんな優しい大人になれるように頑張ろうと思った出来事だった。それから11年経って、今の自分を振り返った。
優しくない。僕は、たくさんの人にそこまで優しくできない。
つい先月も、自分の優しくないことを痛感する出来事もあった。

どうしたら、そんなに自分のことより相手のことを考えられますか?利己じゃなく利他でいられますか?

伯母との電話の中で、歴然と差のある人間の優しさの深さに、伯母の温かみと、自分の不甲斐なさと、11年前の感情が複雑に絡み合って、自分に襲いかかってきた。電話の後半、言葉に詰まり、電話を切った後、しばらく泣いていた。

もう少しだけでいいから。優しくなりたい。
そんなことを思った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?