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おふくろ、ごめん。

だいぶ前の話です。
僕は、当時仲間達と経営していた会社の拡大路線を推進する立場で、毎日午前様。
いえ、午前様どころか、実質朝帰りの日々。

寝る時間も無く働いて、考え、書き、語る日々を送っていました。

母の癌はかなり進行し、そう長くは無いな、と担当医にも言われていたころです。

が、僕はほとんど、母のいる病院のある福岡に行くこともせず、弟夫妻に任せっきりにしていました。
明らかに仕事と自身のバランスを欠いた状態ですが、それに気づいてもいませんでした。

当時はそれが当然、だって弟が近い場所にいるんだから当たり前だろ!とすら考えていたんです。

で、母の死に目にはもちろん会えず。

のこのこと遅れて着いた僕に向けられた、弟夫妻の射すような視線を今も忘れません。

その時、「もう仕事にしがみつくのは止めよう!自由を使いこなす生き方に変えよう!」と決めました。
そして今があります。

僕のこれまでに後悔があるとしたら、その一点だけ。

おふくろ、ごめん。

今も時々、そうつぶやく事があります。
後悔先に立たずとは言いますが、もう、ああした後悔はしたくないのです。

禊(みそ)ぎはまだ済んではいません。

それにしても、19歳で九州を捨て、京都に流れ、横浜に降り立ち、東京から大阪に移動した僕が、生まれ育った九州を飛び越えて沖縄の離島に住むことになるとは、さすがのおふくろも予想はできなかったろうな、と思います。

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