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物語を組み込もう。

たまには本業のコピーライティングの話でもしましょうか。

僕は、コピーを書く際には、出来るだけ物語を組み込んで下さい!
と提唱しています。

理由は明快!
効果が上がるからです。

何故、効果が上がるのか?
と言うと、主に次の3つの理由からです。

① 慣れ親しんでいる。
人は物語に親しんでいます。
生まれてしばらくすると、多くの場合、童話や寓話を読み聞かせられます。
その“物語は興味深い!”と言うイメージが、DNAレベルで組み込まれています。
だから、「あ、これは物語だ!」と知った途端に、
「ちゃんと読まなきゃ!」
と言う気分になる。

これが第一の理由。

② 自己投入。
物語は人を惹き込みます。
言い換えれば、自分の事として読んでもらいやすい。
実は自分自身の実態とは遠い部分での物語ではあっても、
結構、自分の事に置き換えて、一緒に泣き、一緒に戦い、一緒に喜ぶことをする。


だから、一旦読み始めると、簡単には離れられない、つまり、キチンと読んでしまう。
これが二つ目の理由。

③ ザイガニック効果を発揮する。
ザイガニック効果とは、
■途中で打ち切られる、尻切れトンボになると人は困る。
と言う事。

① ②と被る部分も多いですが、物語に触れると、途中で辞めるのが難しい。
これはもう、本能部分です。

だから私たちは、「答えはCMの後で!」と言われても素直に、おとなしく待ったりする。
回答を得ないと気持ちが悪い、気が気では無いわけです。
これは心理法則として立証されているもので、かなり強力です。

この理由が三つ目。

さて、物語。
実はそこいら中にあります。

小さくても良い、ささやかでも良い。
物語を見つけて下さい。

物語?
そんな、大層なモノ、自分には無いよ!
そうおっしゃる方も多いと思います。

が、それは違う。

ビジネスは人の営みです。
そこに人がいる以上、関わっている以上、物語は必ずあります。
これはもう・・・絶対にある。
例えばこんな物語。
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僕は以前、ある”ゴムを使った自動車部品のメーカー”に対し、新規事業のアドヴァイスをした事があります。

ゴムの部品というのは、
■抽出技術
■発泡技術
■型押し技術
の 3 つが揃わないと出来ません。

で、その会社は、その技術を 3 つとも、実に高いレベルで持っていました。
日本でも、いや、世界でも有数の企業です。

で、新たに何か、事業を興したいと考えました。
ですが、なかなか進まない。
新しい事を始めるには投資も必要だし、人材も必要。
新たなネタはなかなか見つからない。
特技が発見できない。

そこで僕に相談が来ました。

いくつかのリサーチを経て僕は、こんな提案をしました。
「御社の特技は、やはり”抽出””発泡””型押し”の技術です。
ですからそれを活かした新規事業を立ち上げましょう。
これまでは天然ゴムを相手に、その特技を活かして来ましたが、
これからは活かす相手を、ゴムでは無く、蒟蒻(こんにゃく)にしましょう。」

結果、その会社は、蒟蒻から抽出したグルコマンナンと言う成分を使って、 実に純度の高いスポンジを作りました。
そのスポンジは、アトピーに悩む子供達と、そのママ達に絶賛され、ヒット商品になりました。

アトピーのせいで身体が痒い。肌が滲みる。
だから子供はお風呂を嫌がる。
ママ達にとっては実に辛く苦しい時間です。

当然、泡立ちをよくするための界面活性剤を使った石鹸は使えません。
だからますますお肌が痛むし、お風呂が楽しくない。
子供はみんなお風呂を嫌がる。
泣いて拒否します。

が、泡の粒を最大限大きくしたこのスポンジは、界面活性剤を使わない、
泡の立ちにくい石鹸でもフワフワモコモコの泡ができます。
だから子供がお風呂を楽しむようになった。

そんなママからの涙のにじんだ、感謝の葉書が沢山届きました。
本当に苦しかったんだろうな~、辛かったんだろうな~。
その葉書を思い出す度に、僕は、あのスポンジを提案して本当に良かったと心から思うのです。

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