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人はいつのまにか、”らしさ”を忘れていく。
中山マコトat日曜なのに病院に行ってくるぞ!大阪自宅です。
相変わらず小説が好きです。
一生懸命読んでいます。
デビュー直後からずっと読み続けて、今も大ファンでいる作家がいます。
いつの間にか読まなくなってしまった作家もいます。
その違いは何だろう?と考えさせられる機会がありました。
あるミステリ系の、そうだな、今や巨匠と言われる2人がいます。
そのどちらも、相変わらずのペースで本を出してくれるのですが、
先日、たまたまそのお二人の新作を読んで決めました。
「もうこのお二人の本を読むのはやめにしよう、これが最後だ!」
どうしてそう決めたのか?と言うと・・・・
”説明的過ぎる”んです。
情景描写、心理描写が長すぎる。
冗長!という言葉がぴったり。
要は、なかなか本題に入らないんですね。
お二人とも大きな文学賞を獲った経験のある方。
もちろん筆力は素晴らしいです。
が、だからと言って、核心に入る前にここまで描写部分を続けられると、
さすがに萎(な)えます。
調子に乗っちゃったなどと責めるつもりはありません。
大物になっちゃって、初心を忘れたな!
と攻撃するつもりもありません。
例えば、雑誌とか新聞の連載の場合は、
あるボリュームまで膨らますと言うか、
伸ばさないといけないと言う側面もあるだろうし、
その描写力を楽しむファンももちろんいるでしょう。
でもね、やっぱり僕が惚れた、憧れた作風は、
”一気に引き込むチカラ”
だったわけです。
ゆるやか~な導入と精緻な描写ではなかったわけです。
もうひとり、中堅の作家にも最近同じような事を感じました。
この人はまだまだ中堅なので、
初期の頃の作風に戻ってくれればまだまだ読むだろうな?
と思いますが、とにかく、人は、
”安定してくると、楽な方に流れがち”
だと思うんです。
息をつかせぬ展開の連続で、読者をハラハラドキドキさせるよりも、
描写にこだわる方が楽ですからね。
例えばミステリならば、”トリック”を考えるのは大変だし疲れる。
でも、そこから逃げちゃったら、その時点でその作家は
変質したも同然です。
例えば刑事や探偵が、犯人に気づく瞬間は、
「偶然」ではいけないわけです。
しっかりした蓋然性が構築されていないとダメです。
でもそこを「たまたま」見抜いた!と書いてしまったら、
その物語はハリボテになっちゃいます。
どんな仕事にもマンネリはやって来るし、
”らしさ”を維持する辛さはつきまといます。
でもね、そこから逃げてはいけないと思う。
身を削りながらでも、”らしさ”を生み出し続けなければ、
その時点で仕事ではなくなっちゃうと思うんですよ。
”らしさ”。
僕にとっては実に重要なキーワードになりました。
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