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変わっていく商店街

 私の住んでいる最寄駅にある、駅前の商店街は結構いろいろなことを考えさせてくれる。この街に住んで、もう15年くらい経つが、こんな風に変わっていく様をリアルタイムで見たのは初めての経験だ。勿論、街に住む人だって変わっていくし、時代も変わる。商店街がそれに伴って変わっていくのは仕方ないことだと思う。田舎の商店街に久しぶりに行ったら様変わりしていて、驚いた経験は私にも当然ある。

 でも、この街にずっと住んでいるので、その様変わりの様子をリアルタイムで見るのだ。それは久しぶりに帰る田舎の商店街とはちょっと違う。

 まず引っ越してすぐ、マクドナルドが閉店した。マクドナルドが潰れるという事態を見たのは初めてだったので、驚愕した。マクドナルドだって利益を追求するわけだから、収支が合わない店を閉めるのは当然だけれど、結構驚いた。駅を出てすぐの場所にあったドトールは老人たちのたまり場になっていた。いつ行っても老人が新聞を読みながら、コーヒーなどを飲んでいる。おしゃべりに夢中な老人もいる。そこも閉店して、終活コンサルの店舗になった。老人がたくさんいたわけだから、分かりやすいと言えば分かりやすいが、それはどうなんだろう。

 ローソンも無くなった。そこも介護施設的なものになるようだ。張り紙がされているがまだ建物の中は空だ。二階は保育園になっている。二階が保育園で一階は介護施設。どっちも必要なのは当然だけれど、それもどうなんだろう。

 三軒あった蕎麦屋は全て閉店した。ラーメン屋は四軒あったが、二店は閉まった。一店は馬肉屋になった。近所にあった昔ながらのたばこ屋はもうすぐ閉めるそうだ。店のおかあさんはたばこ屋に嫁いで何十年と経つらしい。だいぶ前に母を亡くした私はたばこ屋のおかあさんと話すのが好きだったので残念だ。ここのカウンターにはたまに年老いた猫が寝ている。一軒だけあった本屋も無くなった。

 一方、最近、台湾料理店がオープンした。インドカレー屋は短い商店街の中に二軒ある。ナンやライスがランチタイムはおかわり自由なので、高校生がよく来ている。彼らはすごくナンを食べる。一度観察していたら、私が見ている間に五枚おかわりしていた。もしかしたらもっと食べたのかもしれないけれど、私はそこで食べ終わってしまったので、店を出た。インド人がやっているので、若干日本語が怪しい場合がある。メニューにコロナビールがあったので注文すると、黒ラベルが出てきた。コロナビールと黒ラベル。確かに少し似ている。試しに黒ラベルを注文してみたら、黒ラベルが出てきた。どういうことだ。

 ファミリーレストランはない。松屋はある。マクドナルドは無くなってしまったが、うまいハンバーガーを食べさせてくれる店はある。

 イタリアンもある。丼飯専門の店もある。食べ物屋の話ばかりになってしまったが、髪の毛を切ってくれるところも三軒あるし、クリニックもそれなりにある。内科、皮膚科、鍼灸院。それに応じて薬局も結構ある。

 両隣の駅はどちらも栄えている。ファミレスもあるし、モスバーガーもある。居酒屋もある。どうして両隣が栄えて、私の住むこの街の商店街がこうなのか、よく分からない。もしかすると、隣の芝生が青く見えているだけなのだろうか。あちらからすると、そっちの方がいいじゃん、ということになるのだろうか。

 いや、やっぱりそんなことはない気がする。だってコロナビールを頼むと黒ラベルが出てくるんですよ。ちなみに私は黒ラベルだって好きですが。

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