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二郎系ラーメン(画像は違います)

 ラーメンは結構好きな方だ。小学生の頃、地元にあったハルピン

https://www.harupin.com

というラーメン屋さんでよくチャーシューめんとチャーハンを食べていた。二つとも普通盛りである。そうするとチャーハンについてくるスープが省略されたりしたので、クレームをつけていた。「同じ金額を出しているのだから、スープも出すべきである」。小学生の時点でクレーマーである。

 色々なラーメンを食べてきたが、50歳になる今まで、食べたことのないラーメンがある。いわゆる、二郎系というやつだ。僕はラーメンの上にもやしが乗っているのが好きではない。もやしが嫌いなのではなく、ラーメンを食べたいのに麺と似た形状のもやしが乗っているのが許せないのだ。「麺かと思ったらもやしだよ!」みたいなのがダメなのだ。もやしが乗っているラーメン屋さんに入ると、「もやし抜きで!」と頼むのが僕のスタイルである。そんな僕にとって、何だか野菜が山のように乗っている二郎系は縁のないラーメンであった。

 しかし最近になって、二郎系が気になってきた。二郎系はあまり好きではないもやしがこんもりと乗っているし、見るからに結構重い感じである。これ以上歳を取ったら、2度と食べられないのでは?という疑念が湧き起こってきたのだ。僕はそういう経験を一度している。僕が高校生くらいの頃、カレーチェーンで有名なCoCo壱が1300gカレーチャレンジと言うのをやっていた。1300gのカレーを20分だかで食べきると、無料になるというものである。カレーが好きだった僕はいつかチャレンジしようと心に決めていた。しかし、食べきれなかった場合、かなりの金額を払わなければならない。高校生にとってそれは大金であり、「大学生になったらチャレンジしよう」と先延ばしにしていたのである。そうこうしているうち、日本は米不足に陥った。日本の米が買えなくなり、タイ米が主流になった。CoCo壱も米不足の折り、1300gチャレンジを自粛した。そして僕が大学を卒業し、社会人になった頃、米不足は解消し、1300gチャレンジが復活したのである。今こそチャレンジの時である、と僕は意気込んだ。しかしブランクが心配である。まずは800gで行ってみることにした。800gのカレーが目の前に置かれる。とんでもない大きさである。食べていくうち、だんだん味が分からなくなってくる。残り100gあたりから、なぜこんなことをしているのだろう?という疑問が湧き上がってきた。結局800gを食べきることは出来たが、僕の全盛期はすでに過ぎ去っていることを自覚させられ、1300gにチャレンジすることはなかった。(ちなみに今は200gでお腹いっぱいである)

 そんなわけで、今、二郎系にチャレンジしなかったら、もう2度と食べられないであろう、という思いが沸々と湧き上がってきた次第である。近所にラーメン二郎の系列店はないのだが、いわゆるインスパイア系というのは何軒かあった。知り合いに聞き、おすすめの店にいくことにした。酔っ払っていたこともあり、勢いで店に入った。券売機の説明をみると、小ラーメンで普通のラーメン屋の普通盛りの量らしい。とりあえず、それより小さいミニラーメンのチケットを買って、店員さんに渡した。着席すると、何やら色々書いてある。アブラの量とか、ニンニクの量とか、野菜の量とか、細かくカスタマイズできるらしい。普通だとニンニクが入っていないようなので、ニンニクを少し入れたかった。「すみません、ニンニク小でお願いできますか?」と店員に言ってみた。「はい?」と聞き返される。「すみません、ニンニク小で」もう一度言った。「あ、後でまた聞きますので」。どうやらニンニクは着丼直前に言うものらしい。周りの客は「ヤサイマシマシアブラ何とか」とか「ニンニク何とかヤサイ何とか」とか色々言っている。呪文のようである。他の客は皆若く、力強い。

 とにもかくにも、注文したラーメンが着丼した。

ものすごい野菜の量である。麺が見えぬ。まず、野菜を食べてみた。味がしない。テーブルにブラックペッパーとホワイトペッパー、そして謎の容器が二つ、置いてある。そのうちの一つを試しに野菜にかけてみた。酢であった。失敗である。僕はあまり酢が得意ではない。酢をかけてしまった野菜を食べ終わった時、もう一つの容器を試す気力は失われていた。そうか、スープに浸して食べれば良いのでは?まだ山のように残っている野菜をスープに絡めて食べる。なるほど、これはイケる。そんなこんなで野菜を食べ終わった。すでに腹はかなり膨らんでいる。次は麺である。麺は結構固い。スープもかなりこってりしている。ホワイトペッパーを振りかけ、麺を食べた。麺を食べ終わった時、スープはほぼ無くなっていた。ミニだからだろうか、よくわからない。物凄い量である。普通もりはどんなだ。まして大盛りは。

 とにかく、僕はそんなわけで二郎系デビューを果たした。変に体に力が満ちていた。もう寝るだけなのに。家の前でシャドウボクシングを少しやった。わずかに若返ったような気がしたが、それが気のせいであることは僕が一番知っている。





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