あふれる灰汁 【詩】
自分にはないと思っていた
あったのに忘れていた
見えない他人の言葉を見下していた
こうはなるまいと
ところがある日火が付いた
きっかけはささいなことだった
少しずつ熱を持ち
ぐらぐらと煮えたぎり
灰汁が出てきた
火は弱まらず
灰汁はどんどん増えてふくらみ
ついに鍋からこぼれ落ちた
辺りは灰汁で汚れていった
そこでようやく火は消えた
あなたの姿ははるか彼方
しばらくうなだれた後
ため息とこぼれた灰汁を拭く
私から灰汁が抜ける日は
来るのだろうか
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