グレート・ジャーニー

おもいおこそう
わたくしたちが
初めて二本足で立ち上がった日を

ふんわりした草原に寝そべり
ながれゆく雲を
まっかな太陽を
夜ぞらにまたたく星々を
ながめていた
いつまでも同じイメージを

おもいおこそう
わたくしたちが
初めて二本足で立ち上がった日を
眼は太陽だ
天の太陽がそれまで恙なく照らしていた世界を
わたくしたちの太陽は
初めて照らした
天の太陽が見ないやりかたで

わたくしたちの初めて立ち上がった日の
あかしとして
わたくしたちは巨大な柱を建てたのでした

わたくしたちの太陽はもう
照らさない
天の太陽を
ながれゆく雲を
夜ぞらにまたたく星々を

おもいおこそう
わたくしたちが初めて立ち上がり
わたくしたちの二本の脚が
第一歩を踏み出した日を
第二歩を
第三歩を
わたくしたちの太陽は
次々に新しい世界を照らし出した
天の太陽は変わらず
わたくしたちの歩みを照らし続けている

オーケアノスはとうにとおりすぎた
カリフォルニアなどわすれはてた

天の太陽も
わたくしたちの太陽も
ねむるよるに
幾万年ものふるきにかがやいた
無数の贈り物が
わたくしたちに届く
もういないかもしれない
贈り主から

おもいおこそう
わたくしたちが初めて立ち上がり
わたくしたちの二本の脚が
第一歩を踏み出した日を
歩みつづけてきた旅を
いくど立ち止まったかしれない
けれど、歩みつづけてきた
わたくしたちの旅を

わたくしたちの不思議な旅は
まだ終わっていない

わたくしたちが
初めて二本足で立ち上がった日を
あかしの柱はまだ建っている

先頭の者が脱落すれば
すぐにまた後列の者が
新しい一歩を踏み出す
わたくしたちはどこから来たのか？
わたくしたちはどこへ向かっているのか？
わたくしたちの
グレート・ジャーニーは
まだつづいている

おもいおこそう
わたくしたちが
初めて二本足で立ち上がった日を
あかしの柱はまだ建っている
永遠に、とは言わない