マリオとクリボーが出会う理由を知ったとき、たったひと言の天気予報がなぜバズるのかわかった
どうも。すぐ天気予報ツイートがバズってしまう男・アバンギャルド河津こと気象予報士の河津真人です。のっけから調子に乗ってすみません。
きょうこんなツイートをしたところ、絶賛バズっております。(記事を公開した時点で約2.4万RT、3.1万いいね)
私、普段からこういうひと言予報のツイートがバズることが多いのですが、せっかくなのでなぜこのようなツイートがバズるのかを自分なりに分析してみます。
ていうか、以前は無意識でやっていたんですけど、ある本を読んでからなぜバズるのかが言語化できてきたので、今回はそれについて書いてみます。
人の心を動かす方法が書いてある本
そのある本とは、元・任天堂の企画開発者で「Wii」の企画担当者でもあった玉樹真一郎さんの書いた『「ついやってしまう」体験のつくりかた』です。
著者が「ゲームはどうやって心を動かしているのか?」について研究を重ね、その体験をつくる方法についてまとめられています。
大ヒットしたゲームがどのような狙いがあってつくられているのか、その裏側が書いてあり大変エキサイティングな内容となっていますので、ぜひ読んでいただきたいのですが、その前に私のツイートとゲームを「ついやってしまう」共通点について書いていきます。
マリオとクリボーが出会うとおもしろい
この本ではまず世界一売れたゲーム「スーパーマリオブラザーズ」がなぜ多くの人にプレイされたのか、その体験デザインについて書かれています。
スーパーマリオでは一番最初にステージを歩いていくとクリボーが登場します。文章で書くとたったこれだけのことなのですが、この一連の動きの中に、
1.仮説 右に進んでいくのかな?
2.試行 右に進む
3.歓喜 右に進むのが正解だった!(クリボーを発見する)
といった心の動きが生まれるようにデザインされているのだそうです。
確かに画面上には何も説明はないのですが、右に進みたくなるようにキャラクターや背景がデザインされていますし、クリボー登場というイベントも用意されています。これらが直感で自発的に体験できるようにデザインされているのです。
この1→2→3で人の心が直感→理解へと進んだとき、人はおもしろいと感じるのだそうです。
あえて、自発的に予報を理解してもらう
そこで改めて私のツイートをみてみると、実は本文では直接的に天気予報の解説をしていません。この「8月から本気出す」という文章を読んだときに、
1.仮説 8月から何か起こるのかな?
と心が動きます。
その次に
2.試行 添付された画像をみる
が起こり、赤や紫色で表記された最高気温(であろう)の数字を認識することになります。
その結果、
3.歓喜 8月から「暑さ」が本格的になるのだ!
と直感的に理解できるデザインになっているのです(暑くなることは歓喜できないかもしれませんが…)。
通常の天気予報だと、添付の画像が何を意味しているのかをきちんと書いて理解してもらうってアプローチを取るのですが、私はあえて意味を説明しません。
意味を自発的に理解してもらうようにデザインしているので、1→2→3と心が動いていき、自然とRTやいいねを押してしまうようになっているのです。
また、私のツイートを見た瞬間からRTやいいねを押してしまうまでをできるだけスムーズにするために、文章はひと言で短くしています。
大喜利でも芸人さんがひと言でスパッとお客さんを笑わせますよね。ダラダラとしゃべっていても大ウケはしません。
たぶん、予報の内容はもっと充実したものがほかのメディアにもたくさんあると思うのですが、結果的にはシンプルなほうが多くの人に伝わるのではという思いで、こんなスタイルのツイートをするに至っています。
本についてここに書いたのはほんの一部です
『「ついやってしまう」体験のつくりかた』には上に挙げたスーパーマリオのほかにもたくさんの事例があって、そのどれもが情報発信者として参考になるものばかりでした。
この本で書かれている方法をいかした天気予報を毎日ツイートしていますので、まだの方はぜひフォローお願いします。そしてこの本もぜひ読んでみてください!
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