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#13 NOFXの新曲!? "LINEWLEUM"の和訳と解説

久しぶりに翻訳の記事の更新です。

突然ですが、好きなバンドの話をします。

筆者の大好きなアメリカのパンクバンドで、"NOFX"というバンドがおりまして。

自分の音楽遍歴的を語る上で欠かせない、とんでもないくらい好きなバンドです

ステージ衣装やアーティスト写真でもマーチを着てます。

先日、そのNOFXが新曲としてお披露目した"LINEWLEUM"という曲。

新曲と言いつつ実はこの曲、彼らが25年前にリリースした"LINOLEUM"という曲の子供。

曲の子供!?

いったいなんのこっちゃ、ですよね。でもこれには理由があるんです。

その理由を説明すべく、その"LINEWLEUM”の歌詞を和訳してみることに。

すると初見の人に説明するには難しい内容で、あれこれ解説注釈を加えなければこの曲ができた経緯やバンドの真意は伝わらない!

と思い立ち、歌詞だけでなく解説も加えることにしました。

以下は自身のTwitterに掲載したもの

結果として、色々な人がこの投稿に反応してくれました。が。筆者としては満足いかない部分が。

もっと解説させて〜〜〜!!

Twitterは便利な反面、文字数の制限があるため、肝心の訳詩はスクリーンショットにして、なおかつ最小限の解説を載せることで皆さんに読んでいただきました。

あくまでそれは最小限の解説であり、この"LINEWLEUM"をバンドがレコーディングし公開した意図を紐解くには文字数が必要だと思い、自分が拾うことができた情報をこのnoteに記しました。

とりあえず面白そうだからここまで読んでみたけど、

"NOFX"がそもそもにご存知ではないという方は、まず次項から目を通してみてください。

(既にファンの皆様は和訳の項目までスキップして大丈夫です)

そもそもにNOFXって誰?

NOFXは、1983年にカリフォルニアで結成された4人組のパンクロック・バンドです。

初期はメンバーの入れ替わりがありましたが、1990年ごろを境にこのラインナップになりました。

彼らから影響を受けたバンドは多数あり、BLINK-182やSUM 41などもかつてはカバーしたりシャツを着用していました。

ベースボーカルのFAT MIKE(ファット・マイク)は自身のレコード会社"FAT WRECK CHORDS (ファット・レコーズ)"を運営するビジネスマンでもあります。

FAT MIKE (この写真やばいな〜)

FAT WRECK CHORDS

ビジネスマン、と一言で言っても、DIY = DO IT YOURSELFの文字通り自分でできることは自分でやる、という理念のもとに少人数での運営。そして北米最大のパンク・レコード会社の一つです。

日本で言うとHi-Standardことハイスタの北米やヨーロッパ輸出盤はこちらよりリリースされています。

日本でもFAT WRECK CHORDS 25周年のイベントが幕張メッセでありまして、もちろん行きました。

あと、なぜあだ名やレーベル名に"FAT"がついているのかというと、FAT MIKEが大学に入って1年で15キロ太った姿を友人がみてつけたニックネームから来ているそうです。

「俺は人生を楽しんでるんだよ、少しくらい太ってたっていいじゃないか!」

と豪語するエピソードがあったり。

ちなみに本名は、MICHAEL BURKETTE(マイケル・バーケット)さんです。

代表曲"LINOLELM"は25歳

サビもないしAメロと間奏しかない。

ラジオでヒットしたわけでもない。

なのに代表曲として25年以上も君臨する楽曲"LINOLEUM"

しかしNOFXの音楽性を語る上で欠かせない、疾走感とメロディー、ハーモニー

そしてなんといってもベースボーカルFAT MIKEの歌がとてもとても格好いいのです。

収録アルバム "PUNK IN DRUBLIC"

LINOLEUMは、彼らの5作目であり1994年発表のフルアルバム "PUNK IN DRUBLIC"収録

アルバムタイトルは"DRUNK IN PUBLIC" = 公衆で酔っぱらい のもじり。

その辺からもこのバンドの言葉遊びセンス (ひねくれっぷり)も垣間見ることができます。

このアルバムは彼らの代表作の一つです。

LINOLEUM意外にもライブの定番である

Leave It Alone (放っておけ)

Don't Call Me White (俺を白人と呼ぶな)

Perfect Government (完璧なアメリカ政府、実はカバー)

The Brews (俺たちユダヤ人)

が収録されています。すごいタイトルの数々。

余談ですが、のちにこのアルバムをモチーフとしたクラフトビールがリリースされました。

Tシャツももっているアピールの筆者。

そもそもに"LINOLEUM"ってなに?

wikiからの引用になりますが

リノリウム (linoleum) とは、亜麻仁油などを原料に製造される建材である。床材やインテリア素材として使われる。

とのことです。では、ただの床材であるリノリウムが楽曲にどう関わってくるのか、原曲であるLINOLIUMの歌詞を翻訳し読み解いていきましょう。

リノ"OLD"リウム (LINOLEUM和訳)

財産なんてどうでもいい

俺はイカれてないぞ

うん、でもちょっと違うか、ベッドとギターは持ってるな

それと、床にショ○ベンするボブって名前の犬もいる

そうだ、床も持ってる。だからって?

穴だらけのポケットいっぱいにティッシュと糸くずも持ってるし

その俺の大事なもの全部が俺の足元から床へ落ちるように

親愛なる床、リノリアム

俺の頭を支え、信じるものをくれる

金属定規片手に、浜辺で砂を梳いているのは俺だ

集めた小銭でポケットを一杯にしてさ

路上でアゴにヴァイオリンをつけて

ニヤニヤしならがらデタラメな歌を歌ってるのは俺だ

そのバスの後部座席にいるのも俺だし、その独房にいるのも俺だ

お前の頭の中にいるのは俺だ

サイコパスすぎる

読んだ皆さん大半の感想がコレだと思います。

もしくはシンプルに「意味わからん!」と。

そこで、アメリカの歌詞掲載サイト "Song Meanings.com"が役に立ちます、

ここは、掲載された歌詞に対してユーザーがその歌詞に対する解説や個人的な見解を書き込めるようになっていて、いろいろな人の解釈を読むことができます。

なので「自分の解釈が正しい」とか「お前のは間違ってる」などなどいろいろな論争が起きたりもします(笑)

その中でも、自分が一番腑に落ちる、かつ簡潔なコメントがあったので載せます。

Mort2020さん

この曲は自分にとっていろんな意味にとれますね。ホームレスや十代の子たちのことを歌ったのではないんじゃないかな。成人がスランプに陥って深く落ち込み、(自分の家の)床で寝はじめることで自分が太ってることに気がついたり、人生に落胆することは私たちが恐ることですよね。「俺はお前の頭の中にいる」って。

自分もあまりこの歌詞は何か限定された状況の歌ではないと解釈し、いろいろなことに置き換えられると感じます。

ベッドを持ってるのに、床で寝てるっていう状況もある意味世も末だし、太ったらベッドで寝るとキツいっていうしな。

後半の砂辺で小銭集めしている光景や、路上でバイオリン持ってデタラメな歌を歌ってる所、そして主人公は独房入り?してしまったのか。

モノを所有すること = 幸福 には直結しない、というミニマリスト的思想から、貧困した状況においても床の材質であるリノリアムにまで親密な気持ちを見出しているのか?

もしくは、床の材質にまで親密さを見出すような状況に陥ることは、恐ろしいこと、という皮肉なのか。

そしてこの「俺はお前の頭の中にいる」と言っている、アタマがおかしくなってしまった主人公を傍観しているのが我々なのか

それとも

「俺はお前の頭の中にいる」の頭は我々のもので、この主人公に語り掛けられているのではないか、など。

リノリアム、面白い!

では肝心の、新しい方のリニューリウムの歌詞を読んでいきましょう。

リ"NEW"リウム (LINEWLUEM和訳)

知的財産なんてどうでもいい
だから古い持ち曲を改造してもおかしくないだろ
もう25歳なら正しい行いだよ
「これは間違ってる」って言われるのは目に見えてるけど
しかし、700回カバーされ、1,800回ライブで演奏して
コロンビア人までもが口ずさむ曲になった
そして俺たちはLinoleumを安楽死させることにした

多分俺はみんなをムカつかせるために生まれたのかも
だから賢いバンドがやらないことを俺はやる
代表曲を引っ張り出して、改悪するんだ

リノールドリウムはもうどうでもいい
サビがない、Aメロと間奏だけしか書いてない
ボーリング場をぶっ壊して中古レコード屋にするみたいに
自分のベストな曲を分解するのは冒涜だ
Hopelessバンドたちに最も下手くそにカバーされて

ル・ティグラの唯一のヒットソングで 
トニーが最後に演奏した曲だ
今こそLinoleumにヤラせて種付けさせるしかない
キッチンの床を新しくした俺だけど
未だに親友と寝てるんだ、ベッドの隣にある革製の旅行用トランク

自分の子供と外に出てる時
彼女は「パパのしたこと全部知ってるよって」言ってきた
NOFXの自伝を読んだからだな

なんてこった、マジかよ
パパは変人よりヘンテコだって知ってる
なんでそれを俺に言う必要があったんだ

娘は俺がドラッグをやってるのも、性的倒錯者なのも知ってる
だけど一番夜中眠れなくなるのは、娘とその友達が
俺が○尿が好きだというのを知ってることなんだ・・・

リノールドリアムとリニューリアム

かなーり個人的な内容の歌詞でしたね!

太文字部分に関しては特に解説が必要な部分だと感じたので、

筆者なりの見解を書かせていただきます。

700ものアーティストがカバー

1994年に発表され以来、700を超えるアーティストにカバーされているLINOLEUM。

ド素人のコピー・バンドから、あの著名なアーティストが自分たちのアレンジでカバー演奏するなどなど。

そして、このLINEWLIUMのビデオにはそのバンドたちの映像が使われています。

筆者のお気に入りは、フロリダの叙情テクニカルハードコアバンドの元祖Shai HuludのカバーしたLINOLEUM

荒々しいプレイから、エモさ、感傷的なフィーリングすら感じます。

2010年に新宿9SPICESで共演した時コレやってくれて、最前でシンガロングしましたよ!

1,800回以上演奏

本家のNOFXもLINOLEUMは常にセットリストに組み込んでいます。

来日公演結構観に行ってるけど、ほぼ演奏してるんじゃないかな?

Live at Bizarre Festival 1995

ドイツ語でMCがオーディエンスにバンドを紹介してるのに、MIKEとHEFEがドイツ語のマネでチャチャをいれてグダグダ

MIKE「あいつなんて言ってたんだ!?」

HEFE「俺たちの悪口だろ」

MIKE「あいつなんて言ってたか教えてくれよ(オーディエンスに向かって)」

HEFE「言ってもいいからさ〜」

MIKE「あっ、まだ演奏してなかったっけ?!ヤベ!」

そうです、NOFXのライブは空気感(いい意味で)が大事です!

AVENGED SEVENFOLDとHOPELESS BANDS

今や次世代モンスター・メタルバンドの代表格であるAVENGED SEVENFOLD

実は彼らはパンクやハードコアのレーベルである

HOPELESS RECORDS

の出身なのです。

(あと余談だけどドラマーのBrooks Wackermanは、NOFXの先輩バンド"BAD RELIGION"の元メンバーです)

なので、ここの歌詞の"HOPELESS BANDS"は

文字通りHOPELESS BANDS(見込みのないバンドたち、LINOLEUMをカバーしてくれたコピバンなどへ皮肉に効いた感謝)と、

HOPELESS RECORDS所属だったAVENGED SEVENFOLDへ向けたダブル・ミーニングだと取れます。

そして、その肝心のLINOLEUMもライブでカバーしています。

そんな経緯もあり、今回のMVにも参加。

ほ、本家より上手いんじゃないか・・・

と本家のNOFX、特にギターの2人はそこもイジりどころと理解しているのか、LINEWLIUMのMVの後半のライトハンド奏法を披露する場面ではわざとおどけていますね。

後輩からの愛も受け止め彼らをレペゼンする関係性。

NOFXをディスった、ル・ティグラ

筆者もこの翻訳をすることを通して知ったのですが、

LE TIGREというエレクトロ・ロックアーティストがいて、彼らの唯一のヒットソングである"DECEPTACON"の曲中にその答えはあります。

「アンタの歌詞はリノリウム製の床みたいに意味がないわよ、アタシがその上を踏んづけてやるわよ、アンタごと踏んづけてやるわよ」

とディスる内容を発表。

NOFXは1997年発表のアルバム、So Long and Thanks for All the Shoes収録の"KILL THE ROCK STARS"と言う曲でさっそくLE TIGREのボーカル、Kathleen Hannaをディスり倒すという、いわゆる"ビーフ(HIP HOP用語で、言い争いの意)"を繰り広げた背景があります。

実際にこのLE TIGREは一発屋で終わってしまったそうで、唯一のヒットソングでこの"LINOLEUM"に触れている、というのがこの1行の解説となります。

トニー

TONY SLYは、NO USE FOR A NAMEのギターボーカルです。

FAT WRECK CHORDS所属であり、ソロアーティストとしても活躍していました。

なぜ過去形なのかと言うと、彼は2012年にこの世からいなくなってしまいました。41歳の若さで。

筆者もNUFANのファンだったので、このニュースには心底落ち込みました。

そのTONYが、ソロ・ライブにて最後に披露したのはこのLINOLEUMのカバーだったのです。

(左の相方は、同じくFAT所属バンド"LAGWAGON"のボーカルであるJOEY CAPEです)



FAT MIKEの娘が読んだ自伝

NOFX自伝 間違いだらけのパンク・バンド成功指南

そう、バンドの自伝もリリースされています。

メンバーそれぞれによる、結成からこれまでの回想が主の本になっています。

内容はというと、「クスリ・ケンカ・セックス」の三拍子揃いすぎてかなりヒドいです(笑)

これをマイクの娘さんであるDarlaが既に読んでしまっているとのことですね。確かにこれは自分の子供には読まれたくないな・・・

ちなみに娘さんはMIKEそっくりです。MIKEプロデュースの、パンク・ミュージカルに出演したりしてます。

興味がある方はどうぞ!

○尿・・・

ここについては触れないでおきましょう・・・

2月アルバムリリース

このLINEWLIUMが収録されたニューアルバム、"SINGLE ALBUM"

が2/26にリリースされます。

何曲か既に公開されているものもありますが、

他にもどんなひねくれた曲が聞けるのか、楽しみい〜〜!!

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