詐欺被害未遂。

雨が振った日、洗濯物が物干し竿の限界まで干してあり、洗濯物が少なかったので翌日でもいいかと思って寝た。
寝る前の天気予報で、翌日は晴れるが、明後日にはまた雨が降るというので、面倒だが少し早く起きて朝洗濯を回して干してから仕事に行こうと思っていた。
実際いつもより少し早く起きて、洗濯物を回して取り込んでご飯を食べて、取り込んだ洗濯物をたたんでいると家の電話が鳴った。
普段固定電話にはナンバーディスプレイを確認して出ないことが多いが、その電波には初めて見る『ケンガイ』という文字があった。
県外に親戚もいるので、悩んだがその電話を取った。それがおそらく詐欺の電話であったのだが、それに気づくのはそれから4時間後のことである。
電話は年金事務所からというものだった。
ここ半年で色んな年金の手続きやら申込みやらをしていたので何の疑問も持たなかった。だが振り返れば怪しい言葉はいくつもあった。
まず、亡くなった家族の厚生年金の返金があるという内容で、運悪く心当たりがあった。
『返金がある』
『封書を送ったが返送がない』
『期限が過ぎているので、直接銀行に行って貰う必要がある』
『◯◯銀行さん(聞き取れなかった)か郵便局さんでしたら今日中』
『13時までに郵便局に行けますか?(この段階で既に11時半過ぎ)』
『難しいようでしたら郵便局さんでしたら本局で18時まででしたら大丈夫です』
『◯◯様(亡くなった家族の名前)ご在宅ですか?』
『(折り返しかけますのでお電話番号をという返しに)またかけますので大丈夫です』
文字に起こすと詐欺のオンパレードである。
しかし、洗濯が終わったタイミング、これから着替えて顔と髪をセットして13時から仕事に行くので遅くても12時半には家を出ないと間に合わないという焦りが詐欺だと気づかなかった原因だと思いたいのだが、如何せん『言葉を文字通り受け取る』という自閉症スペクトラムの特性が全面に出たのかもしれない。
結局家族に連絡をして郵便局に行ってもらい、局員さんと年金事務所さんとでお話をされたらしく、おそらく詐欺ではないかという話になり、お前はもうノータッチでいいからと告げられて終わった。
改めて文章を振り返るとツッコミどころが多すぎる。

■『返金がある』
既に年金事務所でないことは確認済み。
■『封書を送ったが返送がない』
そんな大事な封書を私以外の家族が見逃すわけがない。
■『期限が過ぎているので、直接銀行に行って貰う必要がある』
こういう手続き普通書面では?書面の再発送なんで不可なんだよ。
■『◯◯銀行さん(聞き返したのに聞き取れなかった)か郵便局さんでしたら今日中』
今日中とは?あともう1個の銀行どこだよ!
■『13時までに郵便局に行けますか?(この段階で既に11時半過ぎ)』
「これから仕事なのに今から行けるわけないじゃないですか!今から洗濯物干しで着替えて化粧して通勤時間もあるのに無理!!」(本当にこれ全部言った)
■『難しいようでしたら郵便局さんでしたら本局で18時まででしたら大丈夫です』
郵便局の貯金窓口は16時までのはずでは?
■『◯◯様(亡くなった家族の名前)ご在宅ですか?』
いやだからその家族はいないって最初にお前が言っただろ。
■『(折り返しかけますのでお電話番号をという返しに)またかけますので大丈夫です』
いや折り返しの番号教えろよ。急いでるのにまたかけますって何だよ。

最後の『またかけます』っていうのは、おそらくパニックでブチ切れてる私との電話を早く切りたかったんだろうなと我に返って思った。
ある意味撃退に成功した気もするが軽く情報が漏れてしまったので、家族に警戒するようには伝えた。

なるほどこれが詐欺か。
途中変だなと思っていたが(特に郵便局の営業時間)パニックでそれどころではなかった。
しかし胸クソの悪い詐欺だった。
またかけてきたら冷静に対処しよう。
というか電話に出ないようにしようと思う。

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