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岩の上で

照りつける太陽と

容赦ない雨に

さらされ

成熟すると

刈られ

もまれ

火にあぶられ

狭い茶壷に

ぎゅうぎゅう詰めにされ

熱湯を注がれ

蓋で閉じ込められ

さらにまた

蓋の上から

熱湯を注がれ

それなのに

一煎目は

惜しげもなく

捨てられ

(チリホコリを落とすためだって!)

再びまた

狭い茶壷に

熱湯を注がれ

じーっと蒸らされて

ついに

馥郁たる香りの

茶が

注ぎ出される

部屋いっぱいにひろがって

すべてを新たにする

香りの

香りを

口中に味わい

小さな茶杯のなかに

わたしは

「あの人」の十字架を

想う

「わたしたち」の十字架を

想う

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