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Croud News Gathering(TBC33)

テレビがメディアとして登場しはじめた頃、ニュース映像は主にフィルムで撮影していました。16mmのフィルムマガジンを急いで持ち帰り、現像室で現像し、生乾きが一番傷つきやすいので、むしろ濡れたままのフィルムをリーダーに掛け、編集マンは自分の手の長さと速度の感覚でカットの尺を読み取り、フィルムカッターで切って透明なテープで貼って仕上げます。出来上がったフィルムはテレビマスター(主調整室)に設置されたテレシネの機械にかけてスタンバイ、キャスターの振りに合わせて再生され、秒間24コマから鏡を使って30コマに変換され放送用の電波に乗っていました。
やがてENG(Electorical News Gathering)という物が現れます。これは一般的に言うVTRを使った手法で、フィルムと比較してやや画質は落ちるものの、現像の必要が無くて速い。電気信号で記録された映像は別の磁気テープにコピーして複製を放送するので素材の保管が可能だった事など利点が多く、テレビ界を席巻しました。画質も記録メディアの発達や画素数の向上などによって、またそれらのデジタル記録によって向上しました。
そのVTRの向上の途上に登場したのがSNG(Satellite News Gathrig)です。静止軌道上にある人工衛星を使って地上で撮影した映像をダイレクトに放送局へ送り放送するシステムです。これも初めはアナログでしたが今は2Kデジタルが標準となりました。
Film→ENG→SNGと発展してきたニュースの世界がさらにデジタルによって大きく変わったのはインターネットです。具体的にはCNG(Croud News Gathering)インターネットに接続されたクラウドを使えば、地球の裏側でも南極からでも映像を手に入れる事ができるようになりました。

余録:今やZ世代はスマホがあるのが当たり前の世界ですが、アナログ時代からデジタルに変わって圧倒的に良かった事は誰でも撮影して、誰でも誰にでも送信できて、共有できるようになった事です。YouTubeを使えば誰でも世界中に発信できるし嘘も本当も、虚構も真実も今や判断できないほどに映像は溢れています。
そんな中で報道機関に働く者は放送法によって定められている公共の福祉に奉仕すべく間違いのない正しい事実だけを伝える義務があります。安易にSNSやYouTubeから転用する事なく裏を取りながら、でもバランスを保ちながら・・・
私は定年退職した人間なのでそんな事をお気楽に論じますが、これからのジャーナリスト達は本当に大変だろうなと思います。

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