「翻案歌」って、なあに?
「翻案」という言葉を初めて知ったのは、大学の日本演劇の授業でのことだった。大変に熱心に深い愛情を持って文楽についての研究を進めておられた内山美樹子先生から、文楽の歴史、演目、作家としての近松門左衛門についてなどを学んだ。授業では仮名手本忠臣蔵の床本を読み、それが上演されているということで、国立劇場で実際の舞台を見た。
その内山先生が、「ここまで人気が落ちるなんて」と悔しそうに話されたのが、文楽に活路を見出したいとして戦後間もなく、1956年に上演されたシェークスピア作品の『ハ