Twitterにあげた詩まとめ④
『4月のおわり』
春がくる、春が過ぎる。
歩く速度が早過ぎる。きみの手が山吹色の風を切る。
知ってる?この先に青い夏があるんだよ。
笑うきみが砂のようにさらさらと消えた。
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『砂漠の花』
歌をうたう。
月に向けて一人で。逃げ去ってきたこの場所、月と僕だけの場所。
でたらめな歌をうたう。
誰も聞いていなくていい。
僕は僕で勝手に生きているよ。
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『楽園』
ここは楽園だここは楽園だここは楽園だ。
乳白色のプールに入れば街はすべてポリゴンだ。
天使は踊る。
頭を垂れて白目を剥いてだらりと舌を出して踊る踊る。
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『光について』
それって世界の致死量だよ。
笑った君の目が溶ける。
どこに居たってまた出会えるよだってしんだらみんな同じ、あいしている。
無意味な哀悼、紅茶に入れてちびりちびりと飲み干した。
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『救済』
ぼくの悲しみは氷柱のように何本も何本も連なって
溶けることなくただぶら下がっている
きみの涙もいつか氷柱になるのだろうか
そんな世界が来る前にきっときみは救われるのだろうな
あいされるのはいつもきみ
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『真っ白な世界で』
月明かりに照らされたあなたの鼻筋を綺麗だと思った
街は既に崩壊してしまっていて真っ白な灰が舞っている
わたしたちは手を繋いだ
遠くへ行こう
探し物も見つけよう
足元の灰を掬ってふっと息をかけてあなたが笑う
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『寄生虫』
色褪せたバスに揺られる。
ただ、それだけの事。
外の景色は情報にはならずに流れる。
ぼくの脳には虫が住み着いてしまったのだろう。
今、ここ、言葉
すべて操作されている。
あの言葉はぼくじゃない。
あの時、は、ぼくじゃ、ない。
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『ある日曜日の』
まっさらな紙にまったく新しくない言葉、私には似合わない言葉
両耳が熱くなるような
あなたの言葉の端にある橙色を数えていたら日が暮れました
なんとなくそんな日曜日
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『あいするということ』
その頬を殴ってみたい
透けるような白肌が腐ったバナナのように変色するのをじっと眺めていたいと思った
こんな感情は初めてで後ろめたいのにわたしは密かに興奮していた
その頬の下にある首筋を汗が伝っていくのが見えた
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『栞を挟む』
あなたの言葉を栞にして
本に挟んでおく
それを悲しみにくれる日に開く
それだけで救われる安直なわたしは
街の煌めきだとか
道端の花だとか
スカートの模様だとか
そんなものを大事にする
いつしか本は日焼けして栞も日焼けして
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