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林家ペーさんとお隣さんになった話

昨日の昼頃、午後から用事があったので、JRに乗って都心に向かって南下していた。

昼間の上り電車は座席に余裕があった。
車両の一番端の座席が空いていたので、席を確保して本を読むことにした。
壁際の席は少なくとも片側には人が座ることはないので少しは気が楽でうれしい。

駅で停車して乗客がばらばらと乗り降りしている。
それでも、通勤時間帯ほど騒々しくもない。
右隣はずっと空席のままだった。

少し経った頃、ある駅で乗り込んできた乗客が隣に座った。
顔を向けずにチラリと目を向けると、ピンク色のズボン、ピンク色のセーターかトレーナーのインナーに茶色い上着、茶色く染めたアフロヘアが目に入った。

ものすごくど派手なファッションだけど、どこかで見たような。。。

・・・・・!!!?・・・・・・

もしや?

もう少しよく見ようと、ガン見しないように気をつけてチラリと横を見る。
うん、間違いない。

林家ペーさんじゃないか!!

正面の人を見ると、やっぱり隣の人を見ないように装いながらも、チラチラと視線を向けている。
斜め前のドア付近に立っているグループの人もこちらを見て笑っている。
なんだか、隣に座っているこちらも恥ずかしくなってきた。

ところが隣の林家ペーさんらしきピンクのおじさん(とここでは断定しないでおこう)は、なんとも心もとなさそうに俯いてこれ以上小さくなれないというくらい小さくなって座っていらっしゃるじゃないか。

(どうか、目立ちませんように。。。誰にも気づかれませんように。。。)
そんな風に祈っているかのようにも見えるが、

そりゃ無理だって!!だって全身ピンクのいつも格好だもん!

いつもテレビで見るハイテンションとは大違いのその姿に哀愁を感じる。
ていうかオーラがゼロ。
真横の至近距離で見えるお顔の皮膚もしわくちゃで、それは仕方ないか。
さっき調べたら、もう80歳過ぎていらっしゃるんだから。
普通のおじいさんだと、小さくもなってくるわな。

あと、雰囲気がテンション低い理由として考えられるとすれば、ぺーさんの隣でカメラをパシャパシャ撮りながら甲高い声で笑っているパー子さんがいないからかも。

それにしても、この衣装らしき全身ピンク。
流石に少し朝晩は肌寒いので茶色い上着で若干カモフラージュしているようだが、全身ピンクの服装は、よもやオフでないだろう。

普通の住宅街のような各駅停車駅から乗り込んできたのだが、
これはロケの移動なのか?
いや、ロケ途中だとするとまさか電車で1人で移動はないだろう。
だったら、オフなのか?
オフでもこのスタイルだとすると、そんなに小さく目立たないように縮こまらないだろうし。
しかも、大きなカバンらしきものは持ってなさそうで、小さなポシェットらしきものがあるかな?
うーん、だったらやっぱり何かの移動なのか?

そんなことをぐるぐると考えながら、開いた本に全く集中できないまま何駅か過ぎた。

こんなチャンス滅多にないので、スマホを出して
「林家ペーさんですよね!?」
と声をかけて自撮りしようかと何度もよぎったが、
微塵もそんな気分にさせないようなテンションの低さが隣から漂ってくる。

別の路線と乗り入れている駅に電車が停まった途端、
ハッ!
とスイッチが急に入ったかのように、すくっと立って飛び降りて行った。

この駅で乗り換えたということは、きっと山手線に乗り換えるんだな。

うーん、今のは夢か幻か。
本当に隣に林家ペーさんが座ったのか。

それにしても、何故にフル装備全身ピンクで1人で電車移動だったんだ?

一晩明けてふと思いついたのが、ひょっとしてあれは水ダウの「説」だったんじゃないか、とか。

「いつもの衣装を着ていたら、気配を消して1人で電車に乗っていてもすぐに誰かバレてしまう説」
みたいな?
だったら、声をかけた方がよかったのか。

いや、そんな事はないな。

いずれにせよ、謎は残るばかり。

<了>

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