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プロの仕事と素人の仕事はどこが違うのか?

 皆さんは「プロの写真家が撮る写真と素人の写真」、どこが違うと思いますか?

 構図?
 ぼかし方?
 遠近?
 光の使い方?

 どれも、大切なことですよね。かっこいい構図で被写体を撮った写真を見ると、確かに憧れます。ただ、どれも、お金、または理屈がわかっていれば、かなりの割合で解決する問題です。いい機材を買って、ちょっとした市民講座に行っていい写真を撮るコツを習えば、かなりのクオリティを確保することはできます。とすると、「プロの写真と素人の写真」大差はない・・わけないですよね。どう見ても歴然とした差がある写真は、たくさんあります。

 では、「プロの写真と素人の写真」、どこが違うのでしょうか?

■どこが違うのか

 僕は、シーンの切り取り方だと考えています。その人や場所の魅力を最大限に引き出しているな~、と感じる写真ってありますよね。人ならば表情とかポーズ、風景ならばその場所の魅力が最大化されている瞬間。そんな一瞬を切り取った写真を見ると「プロの仕事だな~」と感じます。

 ただ、昔からどうしたらそういう写真が撮れるのか、不思議でした。たくさん撮って、その中から適当に選ぶのか?そんなことを考えたこともありました。そこで先日、巣鴨に自分のスタジオを構えるカメラマン兼中小企業診断士に、「どうやってそういう写真を撮るのか」聞いてみました。
カメラマンの答えはこうでした。。

「井上さん、簡単ですよ。この人だったらこういう風に撮ろう、という『ゴールを先に決めている』んです。ゴールを決めたら、後はその瞬間が来る時を逆算して、そのタイミングを待つだけです。そうでないと、品質が保証できませんよね。たまたま、シャッターを押したときにいい写真が撮れた、これだとプロの仕事とは言えません。」

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■ゴールから決める

 なるほど・・・・。「こういう構図で、この人のこういう絵柄を撮ろう」ということを、先に決めているんですね。だから、自分が思った理想の一枚が「必ず」撮れるんですね。
 そして、「必ず撮れる」というのはすごく大切なことですよね。いい写真を撮ってくれる「かもしれない」井上さん・・・・・に任せるのは、ちょっと不安。やはり、いい写真を「必ず」撮ってくれる井上さんにお願いしたい・・ですよね。

 そして、カメラマンは、こう続けました。
「でも井上さん、コンサルも同じですよね。企業のゴール(あるべき姿)を先に思いえがいて、それに向けて逆算でスケジュールを引いて、社長の伴走をする。ゴールが見えてなければ伴走できませんよね。」

■コンサルティングも同じ

 なるほど・・・・って感心している場合ではありません。確かに、これまで、自分のお仕事や診断士活動でコンサルをする時、ゴールはいつも考えていました。この人は、この会社はどこに行きたいのか、どうなるべきなのか、を常に念頭において仕事をしてきました。

 コンサルをするうえで、一定のクオリティを出すためには、先にゴールを決めておき、そこに向けて導かなければいけません。「いろいろ検討結果が、たまたまこういう結論が出ました・・・。」では、コンサルタントとしての資質が問われます。言い換えるなら、一番最初のゴール設定で、コンサルティングの質ってほとんど決まると考えてました。もちろん途中でゴールを変更することもあります。その場合でも、ゴールを見続けてそこに向かうことは変わりません。

■いろいろ同じ

 そして、「ゴールを先に決めておく」ことは、いろいろなことにあてはまるのかなと思います。先日、人材育成について会社の若手と話をしていた時に。彼が言った言葉を引用させてもらいます。「井上さん、人を育てる時って、『この人にはこうなって欲しい』という思いがあって、そこに向けてステップアップしていくことを考えないと、なかなか育ってくれないですよね。」

 いいこと言うな―と、感心してしまいました。この人にはこうなって欲しい=ゴールと捉えれば、まさにそのあるべき姿に向かって、どのようにステップアップしていくのかを考えるのが人材育成のだいご味なんだろうな・・・なんて思ったりもします。

 じゃあ、ゴールはどうやって決めるんでしょうね?

それは、また次回にしましょうか。だいぶ長くなってきましたし。

ITベンダに勤務する、中小企業診断士です。得意のITを活かしつつ、常に楽しく前向きに、中小企業の方々と一緒にいろいろ考えていきたいと思っています。