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写真と詩

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leicaで撮影した写真と、その風景から感じた詩を載せています。
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2023年2月の記事一覧

雨が新宿を包む

空に君の名を呼ぶ 手のぬくもりを感じながら 優しを眺め、泣くのを抑える 勇気を見送って 新宿の雨を、人込みの中で 身体に浴びる雨は、まるで香水 力が抜けて、愛が通り過ぎる 一緒に居れば、夢が救ってくれたのに 君がいないだけで、混乱が絡まっていく 憂鬱は、鏡にどう映っている 隠れながら救いを求めて 写真を眺め、降りやまない雨を放っておく この街は刺激が多すぎる その分、駆け引きも覚えた いい訳が、真実になっていく 何かが始まっている 目の前の感情が、空が、星が 一

市橋織江 写真展「サマーアフターサマー」を観に行く

新宿北村写真機店ギャラリーで、「サマーアフターサマー」展、トークショーを拝見してきた。 市橋氏は誰もが「あ、見たことある!」CM中心に活動する有名な写真家。表現は「夏の生き生きした光を導く」どこから懐かしい曲が流れるような写真、そんな印象だ。 あらゆる生命の力強さ、希望に似た光景。それは決して対極の激しいコントラストで表現するのではなく「生きることは美しい」その一点表現に尽きる。当たり前だけど、僕らが目を背けがちな素直な表現である。その独特な感性は、どこか懐かしく、心の奥に忘

「春が来る前に」

▃▃▃▃▃▃▃▃▃▃▃▃▃▃▃▃ 「春が来る前に」**悲しみがあるから春が来る春が来れば僕はどこかの始まりへ歩き出してしまうだろう春の暖かさがこの街を包む前に君を見ず振り向かず君が好きだった春僕が好きな冬何より大切な季節その速度を遅めていく僕は君に寄せた頬擦りむいた膝嬉し悲しい思いずっと忘れることは無いだろうまた春が来ても"Before Spring Comes"**because there is sorrowspring is comingwhen spring com

映画スラムダンクを観に行く

雪予報の新宿。仕事を早めに切り上げて訪れてみたものの、雪は雨に変わり、見慣れた風景だけが僕の前に寝そべっていた。 僕はカメラを持って街を歩く。だけど、期待した雪景色が無いことやあまりの寒さ。撮影を切り上げて、映画館の上映スケジュールを眺める。 「スラムダンク」という表題が目に留まる。気が付くとチケットを購入していた。 本来、アニメ原作の映画は否定的だった。それは「週刊誌の衝撃や手触り毎週の興奮、その原作の雰囲気を超えられない」という固定観念があったからだ。 映画が始まると

原岡桟橋を訪れて

千葉県房総にある「原岡桟橋」を訪れた。 友人(といってもかなり先輩)に美味しいものでも食べに行こう、と誘ってみた。新しい場所を訪れるのは心を興奮させる。それは写真家の性分?それとも綺麗な景色を残したいという真実性の確保なのかもしれない。  友人はフィルムを経験している写真家。表現は「逆光のアーチを写真に残したい」そんな印象な彼。僕はどちらかというと陰影のグラデーションを好む。違うタイプの写真家は同じ素材をどんなふうに写真に変えていくか興味があった。  それと同時に「自分の方向