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警告!この記事を読んではいけない41「銃」について8<砲の概念2>

前回の記事では、やや未来的な砲の一つ、粒子ビーム砲のお話をしました。今回からしばらく、少し長くなりますが、実用化されている砲について、お話ししたいと思います。まずは「砲」とはどういう物なのか、その概念をもう一度復習しておきたいと思います。

砲の概念 2

砲とは、現代では円筒、つまり筒の中に弾丸というか砲弾を入れて、これを火薬の爆発力で押し出し砲弾を遠くまで飛ばし、目標物を破壊する、という兵器です。では、砲とは最初からそのような機構を持ったものだったのでしょうか。最初期の砲は、そうではなく、次のようなものだったのです。

最初に「砲」のようなものが現れたのは、実は12世紀頃らしいです。随分昔ですが、そんな昔から、砲は存在していたらしいです。存在していたという事は、必要があったから開発、というか発明されたのです。目的は一つ。敵の城を攻撃するためです。

そもそも人類は、群れて集落なり国なりを作ると、隣の集落やら国やらと、争うようになりました。つまり戦争です。自分の所属する勢力を味方と言い、相手の勢力を敵と呼んだのです。戦いとは攻撃と防御です。攻撃する側は、より強い武器を欲し、防御する側は、より堅固な防御力を欲しました。

相手の攻撃をはねのける道具は、小は手持ちの盾から、大はお城までありました。そして最大の防御力を持つ「城」を攻撃するには、「城」の材料である石の城壁を撃ち破る、あるいは破壊する兵器が必要でした。石でできた城の城壁を破壊するのは、非常に困難でした。そして工夫を凝らしました。

古くはバリスタと言う巨大な弓や、カタパルトと言う巨大な投石器を作り、これを敵の城に向けて発射したのです。これがあれば敵の城壁を打ち破れるというか、こんな巨大な兵器がないと、石の城壁は撃ち破れなかったのです。これが「砲」の始まりと言えるでしょう。

そして火薬が発明されると、金属の筒を作り、これに石の城壁を壊せるような、大きくて重い砲弾を詰め込み、砲弾の反対側に火薬を入れて火を付けたのです。すると火薬の爆発力によって、砲弾は筒から勢いよく飛び出し、敵の城の城壁を破壊したのです。ただし命中すればですが(笑)。

こうして「砲」は、現在の砲と同じ機能を持つものに発展したのです。日本には砲より鉄砲の方が先に伝えられました。後になり砲も伝えられました。江戸時代の事でした。日本の城は、ヨーロッパと違い、土を固めて作られていましたから、石よりも、もろい構造でした。

大きくて重い金属球が飛んで来たら、土の壁など、粉々に吹き飛んでしまったのです。ただし命中すればですが(笑)。このように西洋でも東洋でも、砲はまず「攻城兵器」でした。砲は最初は「攻城砲」だったのです。

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そして徐々に砲は攻城砲以外の使い道に応用されるようになります。具体的には、馬や牛の引く、大型の砲もそのまま残りますが一方で、小型化され、人間が一人で担げるようなものまでできるようになりました。これは砲と言うより、鉄砲ですね。こうして砲は、発展して銃にもなったのです。

大小さまざまな砲が開発されました。軽量化も進みましたが、ある程度以上の軽量化はできませんでした。何故なら強力な火薬を使えば使うほど、砲身の強度も上げねばならず、そのためには砲身の厚みを削って薄くする事には限度があったためです。

また一人で手に持つ銃も、銃身の強度だけでなく、安定して狙いをつけるためには、銃身がブレてはいけないので、命中精度を維持するためには、ある程度の重量があった方が有利だったからです。そしてとうとう、砲は、次の段階に進みます。

初期の砲は、牛や馬が引いて運ぶ、持ち運びに不便な地上兵器であると同時に、小型化された銃は、兵が一人で運んでいました。そのうち、人間は船に大砲を積んで「攻撃兵器としての船」を作っちゃいました。そしてとうとう第1次世界大戦になると「戦車」なる兵器が登場するのです。

戦車とは自動車に銃や砲を積んだものです。地上兵器ではありますが、人間の足や、牛馬の歩みと比べると格段に高速移動ができるようになりました。しかし、相手も同様に、自動車に銃や法を積むもんですから、簡単にやられないように、いろいろ工夫をしたのです。

ひとつは装甲です。相手が撃ってきても、その弾丸や砲弾をはねのけてしまえば、自分のダメージはありません。自動車全体を、銃弾や砲弾を跳ね返す装甲で覆ったのです。そしてさらに、どんな地形でも踏み越えて進軍できるように工夫しました。無限軌道の走行装置、つまりキャタピラです。

装甲やキャタピラを装備すると、自動車は非常に重くなります。故に、この重量でも余裕をもって走行できるよう、大出力のエンジンを積むようになりました。こうして第1次大戦では、重装甲、無限軌道、大出力エンジン付きの「戦車」なる兵器が登場したのです。

簡単にイメージを説明しますと、歩兵が鉄砲をもって撃ちあうような戦闘が中心だった第1次大戦では、敵のいる方角から金属の箱みたいなのが大きな音をたててやってくるのです。銃で撃ってもびくともせずにやってきます。小さな谷や山なども、ものともせずにやってきます。

そして近づいたら、自分に向けて銃なり砲なりを発砲してくるのです。いやあこれ、現場でこんなのに遭遇したら、さぞかし恐かったでしょうね!撃っても死なない鉄の化け物が、自分を殺しにやってくるんです!いやあ、恐かったでしょうね。

恐い兵器は、戦車だけではとどまりませんでした。とうとう飛行機にまで、銃や砲が搭載されるようになったのです。敵国も、飛行機に爆弾を積んで落っことしに来たり、機関砲を積んで飛行機を撃つんです。自国の防衛のためには、こちらも爆弾を積む爆撃機や、敵の爆撃機を打ち落とす、機関砲を積んだ戦闘機を作るようになっちゃったんです。

艦船にも砲を積んで、敵の艦船を攻撃するようになるんです。これを、軍拡競争って言うんですよね。艦船に積んだ大砲で撃たれると、自分の船は沈んぢゃいます。飛行機に乗ってると、敵の戦闘機が機関砲を撃ってくると、当たり所が悪いと、すぐに落ちます。戦車に狙われると、やはり恐いです。

まあ、何から撃ったとしても、撃つ側が動いていたりすると、命中精度が極端に下がってそうそう当たるもんぢゃないです。やはり射撃って、まず自分が静止した状態からでないと狙いをつける事ができないんです。射撃の技術って、そう簡単ではなく、砲弾って、重力その他の様々な力の影響で、直進するもんぢゃないんです。

あてずっぽうで撃っても、そうそう当たるもんぢゃありません。難しいんです。それを当てようというのが、砲術って言うんです。

今日はここまでにします。砲は、実に様々な種類があることを、お話ししました。次回からは、今日の最後らへんでご紹介した、戦車砲、戦艦主砲、航空機関砲についてを、順にご紹介したいと思います。

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