2021年入院の旅
私、6/26から7/10まで、「十二指腸潰瘍で入院加療が必要」となりました。その話をまとめておきたいと思います。
1.入院まで
6/25(金)に、いつもの様に職場から帰宅しました。その日も別に特別な異常はなかったのですが、後で思えばいつもより多少胃痛がしていました。
そう、実は 2008年のリーマンショック頃から、私は空腹時に下腹部の痛みを感じていました。まあ、でも現代人の端くれとして、それなりにストレスを感じ、その結果の胃炎ぐらいなのだろうと思っていました。症状は一進一退でしたが、数年前から空腹時の胃痛で夜に目が覚めて、牛乳を飲んだりしていました。
そしてこの日、帰宅時に駅から自宅まで自転車なのですが、どうも疲れてしまうことに気付きました。最後の交差点で信号待ちをしていた時、「あれれ?」という感じになっていました。それでも自宅について、食事もそこそこに寝ました。特に痛みはないのですが、倦怠感が強いのです。
その夜未明、フラフラしながらトイレに行ったら、〇〇の色が水っぽくて真っ黒なのです。「これは食あたり?食中毒?」と思ったのですが、とりあえず翌朝までおとなしくしていました。なにせ、立ち上がると力が出ないので、寝てるしかないのです。カミさんが心配して、「救急車を呼ぼう」と言い出しましたので、近所のN胃腸科医院に車で行くことにしました。車を降りて立って歩くのが危なそうだったので、ここから後は車椅子です。
2.診察と緊急入院
まず、黒い〇〇を確認されました。お尻に指を入れたり、機器を挿したりして直接確認しました。先生曰く「これは、タール〇〇と言って、大腸より上で出血した時の典型的な所見です。胃や近辺なら胃カメラで場所がわかりますが、小腸になると場所の特定が難しいです。まずは胃カメラ飲みましょう!」ということで、検査です。血圧も低く倦怠感は貧血の症状なので、まずは点滴をされました。N医院では胃カメラ検査時に「鎮静剤」を使います。なので、検査中は寝ていますので、本人は何も辛いことはありません。で、意識が戻ったのは元のベッドの上。で、診断は「十二指腸潰瘍」で、すでに出血は止まっている。しばらくは入院。手術は不要。24時間の点滴が始まりました。
ちなみに、後で聞いたのですが、鎮静剤が効きすぎたのか、元々低い血圧が更に下がり、看護師さんたちが「血圧測れない」と少し慌てていたそうです。てへへ。
3.点滴の不思議
500ccぐらいの点滴を、一日4本ぐらい入れてもらいました。で、血糖値は維持されてお腹は減らないのですが、ドンドン水分が入ってくるので全て尿になります。毎日尿の量を測っていたのですが、ホントに24時間で2Lぐらいになります。他にすることは無く、検温/血圧測定/点滴の交換以外はとにかく寝ます。また、ほぼ一日寝ていられることに驚きつつ、とにかく寝てました。〇〇も口から何も食べてないのでほどんど出ませんが、痛みも無いのは助かりました。また、日に2回潰瘍の治療薬を、点滴の横から注射してもらいました。これも特に痛い訳ではありません。
また、点滴の面倒は、着替えがし難いことです。ずっと右手に点滴をされていたので、Tシャツの着替えが出来ません。2日に1回ぐらい、点滴の交換時に着替えをしていました。
4.看護師さんたち
先生は3日に1回ぐらい見に来るだけですが、看護師さんはチームを作って24時間完全看護という状態です。何せ、4時間ぐらい置きに点滴の様子を見て、検温して、患者の様子を見て、尿の量を計算してと、世話をしてくれます。もちろん夜もです。自分の担当をしてくれたSさんは、黒島結菜似の目がクリクリっとした元気な若い方で、良く雑談をしてくれました(コロナのせいで皆さんマスクをしているので、若干?美女補正がかかっている可能性はあり)。
とにかく看護師の皆さんにはホントにお世話になったなあ、というのが実感。コロナのせいで面談も出来ないので、カミさんにも会えない中、ちょっと大げさに言えば「生きている実感」はそんな何気ない雑談にあった様に思います。
5.初めてのシャワー
6/30 入院生活にも慣れてきました。この日は、初めてシャワーを浴びました。点滴の針はそのままで、一時的に液を外してもらって、シャワーです。ずっと点滴を受けて、胃酸が減る薬を打ってもらって、大人しくしていました。そろそろ5日以上何も食べてないのですが、点滴さえ打てば元気なのはホントに不思議。
ただ、もう少し早めに通院して胃カメラ飲んでいれば、通院と服薬で済んだかも。自分は小学生の頃 扁桃腺の手術で一泊入院したのが最初で最後、その後一度も入院せずに済んできたのは、ある意味ラッキーだったのかなあ。
シャワーを浴びて、頭を洗って、ようやく人間らしい感じに...
6.点滴の問題
点滴は、静脈に異物(プラスティックのカテーテル)を挿している訳で、どうしても腕を動かすと曲がったりします。また異物に対する拒否反応もあり、徐々に痛くなってきます。腕の中が、徐々に怪我をしていく感じです。最初に挿した左手が段々痛くなってきたので、右から挿し直しました。すると、抜いた側の左手がかなり腫れて、小さなアイスノンで一日以上冷やしました。結構これが長く痛くて、退院時にも若干傷みがありました。また、これも後で聞いたのですが、最初にカテーテルを入れる時に「輸血が必要かも?」という判断があって、それ用の少し太いカテーテルを挿していたようです。幸い、輸血はしませんでしたが。
また、都合4回点滴の針を挿してもらったのですが、看護師さん毎にチューブの取り回しには特徴があって、それも面白かったです。
7.二回目の胃カメラ
7/3 今日で一週間経ち、再度 胃カメラ検査となりました。無事、潰瘍は小さくなっていてそこは先生の想定通り!でしたが、その後の初めての〇〇がイマイチだったので、大事を取って食事は月曜の血液検査の結果を見て、となりました。うーーん。何も食べない生活、もう少し継続です。
胃や十二指腸からの出血だと、出てくるまでに時間があるので、その間に黒くなるそうです。それに途中で血液成分を消化器官が吸収するので、血液中の窒素の値が増えるそうで、そこから具体的な数値を見ることが出来るそうです。逆に出口に近い大腸なら、赤いのが出るそうです。
胃カメラ検査は凄く辛い場合もありますが、この病院では「鎮静剤」を点滴に入れて眠らせてからカメラを入れるので、本人は何も知らないうちに終わります。先生も楽なんでしょうが、主な診察はカメラでの患部確認なので、患者にとっては先生に見てもらっている実感?が薄いです。日々の点滴の面倒を見てくれる、看護師さんたちの存在感が大きいです。何せ24Hの点滴を数時間毎に確認して、運用を維持しているのですから。
毎日、結構発見が多いです。点滴と言うシステムに、体験も含め相当詳しくなりました。
8.食事開始
7/6 入院も、今日で10日目。二週間目に入って、ようやく食事?が出るようになりました。同時に24H点滴も終わり、夜は点滴なしの自由な状況になっています。
要するに「絶食で胃腸を止めて、患部を直す」段階が終わり、「徐々に胃腸から栄養が取れる」段階に進んでます。十二指腸潰瘍があっただけで、元々他の消化器官に異常があった訳ではないので、今までが修理だとすると、調整作業みたいなものですね。
でも、もう若くない(当然ですが)のか、そもそも時間がかかるのか、これに一週間かかるのはちょっともどかしくもあります。今日の夜は粒が解る粥まで来ていますが、普通のごはんを食べるのにはもう数日かかる、ということでしょうね。まあ、ずっと何も食べてなかったので、何を食べても美味しいのはラッキーですが。
9.点滴卒業
7/8 入院も、今日で12日目。ついに最後の点滴が終了し、両手がフリーな状態に。食事も、かなりご飯粒がある状態に。このまま順調なら、土曜日に退院となりました。皆さん、色々お騒がせしました。もう少しだけ、のんびりさせて頂きます。三時のおやつとか、出ます。
10.無事退院
7/10に無事、退院しました。予定通り?の二週間コースでした。最後のご飯は、普通のご飯になってました。これで娑婆に帰れる。
11.まとめ
入院中から、空腹時の胃痛が全く無くなりました。もちろん、薬も飲んでいますが、それにしても快適です。また、貧血気味だったのも改善し、急に立ち上がっても立ちくらみもしなくなりました。現代医学の勝利です。
ただ実は、十二指腸潰瘍は食事での予防は出来ません。また、以前は再発が多い病気だったそうで、手術で摘出することもあったそうです。しかし、最近原因が「ピロリ菌」と分かってきて、これを除菌すればほぼ再発しないそうです。こいつです。悪そうですね。
しかも、大人になってからの日常生活・食生活ではピロリ菌の感染は起こらないと考えられています。ピロリ菌は、ほとんどが乳幼児(5歳以下)に感染すると言われています。幼児期の胃の中は酸性が弱く、ピロリ菌が生きのびやすいためです。となると、自分の場合 50年以上前に埋め込まれていたタイマが、発動したということですね。先日、退院後の診察で患部写真をみせてもらいましたが、正にこんな感じの赤い斑点がありました。
次回の通院は 8/12 なのですが、その辺りからピロリ菌の除菌治療に切り替わる様です。これもいい薬があるのですが、やはり耐性菌もいるそうで、10%ぐらいの人は何度か除菌をしないと駄目なようです。運試しです。
12.皆さんへ
実は十二指腸潰瘍は、20代〜30代の若い人がかかる病気だそうです。食事後、3〜4時間で痛い場合は胃、空腹時に痛い場合は十二指腸の疑いが高いそうですので、いずれにせよ胃カメラ飲みましょう。特に痛みで夜起きるようなら、即通院です。胃カメラで「鎮静剤」を使ってくれる病院なら、全然不快ではないのでオススメです(ただし、その日は自動車に乗れませんので、要注意)。
関係各位、職場、友人、家族の皆さん、大変ご迷惑/ご心配をおかけしました。無事帰ってまいりましたし、再発防止の道筋もついていますので、ご安心頂ければ、と思います。自分は黒島結菜さん似の担当に付いてくれた、Sさんの素顔が見られなかったのだけは、心残りですが。