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受容(短編作品)

レオは中学の入学式を終え、明日から授業が始まる。
期待より、不安の方が大きい。

母親から、美術館に誘われた。中学になると新しく美術の授業が始まるので、
美術がどういったものなのか見ておくと良いということだ。

美術館のテーマは、「近現代デザインの歴史」
19世紀から現代に至るまでのデザインの変遷が紹介されていた。
美しいもの理解し難いものまで、様々あった。

否定され受け入れられ、また再認識されそのサイクルがあるということがわかった。
レオはそこで大事なことに気づく。
様々なあり方があって良いのだと。

そして、

ここに展示されているものは、全て受け入れられている。
ここに居ていいんだよ。と
それはとても温かく、レオの心理を安心させた。

帰り道、母の車窓から様々な景色を眺めた。
色々な建物があり、色々な色がある。小鳥が囀り、虫が鳴く。
それも全部受け入れられている。そして、僕ももちろん受け入れられている。

レオは色々なものに感謝した。

怖くなんかない。
胸を張って学校に行こう。

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