僕(税理士)の経営コンサル総論
概要
HPで「経営を支援します」と謳っている税理士事務所は多いですが、支援の中身まではなかなか見えません。
コロナ禍真っ只中ですが、今期、私の顧問先は、減益した会社はあっても、一応8割以上は黒字を達成(または達成見込み)しています。もちろん黒字化するために減価償却費を過小に計上したり、変な調整はしていません。逆に本当に利益が出ているのかと、気持ち的にはいつもより保守的にやってます。
開業したばかりで割と時間もあったため、コロナ禍以降、心配な顧問先とは、採算度外視で毎週打合せを重ねました。黒字化達成は、もちろん顧問先の功績なのですが、私なりに出来る支援に力を注いできました。
業種にもよりますが、一応得意とするのが売上3憶円規模くらいまでの会社(私が社員の顔まで見える規模)です。
現在は一人事務所でやってるので、サンプルとなる分母は少ないですが、黒字化を達成する顧問先の共通点や、私が考える支援の方法を総論的に公開します。
税理士の経営支援のこれから
年収チャンネルの株本さんが仰ってましたが、経営コンサルの仕事は、情報の提供をするだけ、情報を売るだけでは、もはや価値がなくなってきました。もはやというか、前からそうだったんですが…。実行するとこまで支援して、総合的に初めて価値になると思います。さて、これをAIが出来るでしょうか。
私の場合、簡単に言うと「事業計画を一緒に作り、その実行まで支援する」という、とても基本的で、多くの方がやっていることをやっているだけなのですが、その根本となる考え方が少し特異なのかなと思います。
私なりに経営支援の核となっている考え方を、2つに分けて整理してみました。
1.成功はアート、失敗はサイエンス
「破天荒フェニックス」で有名なオンデーズの田中社長が、以前何かの動画で語っておりました。最近ネット上でもこの言葉をよく見聞きします。
「成功はアート」の意味するところは再現性が低いということです。かみ砕くと、ある人が成功した方法を応用しても、自分が成功するとは限らない。成功の背景には人それぞれ異なる諸条件が働くので、成功に法則性を見出すのは難しいという意味でしょう。
一方の「失敗はサイエンス」ですが、これは「失敗は科学できる」ということです。確かに経営が上手くいっていない会社というのは、必ず何か間違ったことをやっていて、失敗にパターンが見出しやすいです。つまり「成功よりも法則性がある=科学できる」ということでしょう。コロナ禍に関わらず、この失敗を洗い出す作業は、普段から経営支援の入り口として私が大事にしていることです。
「失敗はサイエンス」とかっこいい言葉を使わなくても、日本には昔から「失敗は成功のもと」という格言がありますね。これは真理だと思いますが、失敗を徹底的に研究し、改善していこうというマインドが会社にあると、経営支援の仕事はとてもやりやすいです。
経営支援の前に社長と信頼関係の構築から
社長との信頼関係ができている場合は問題ないですが、改善が必要なのにいくら提案をしても社長にはささらないことがあります。この場合、社長と税理士の間で信頼関係の構築が甘いと私は考えます。信頼関係が出来ていないならそこから始めます。それが難しい間柄なら、基本的には経営支援はできない、そもそも顧問契約もしないというのが私のスタンスです。
信頼関係が出来て、やっと経営支援の具体的なステージに進めると思います。逆に信頼関係ができてからでないと、どんなにいい戦略があっても上手くいかず、どこかで歪みが生まれます。時には社長に厳しいことも言わなければなりませんので…。信頼関係を非常に大事にしています。
共感が信頼を生む
信頼関係の構築の上で、肝に銘じている格言があります。「人は理解しても動かず、納得しても動かず、共感して初めて動く、その目的は個人の利益の追求のため」という言葉です。
掘り下げてみると、多くの社長は、会社ではなく、究極的には社長個人の利益を追求しているように思います。会社が利益を出すことがゴールではなく、会社が利益を出すことを通じて、最終的には個人の利益になることを追及しています。これは必ずしも金銭で測れるものではないかもしれません。
社長のビジョンに共感する力が重要ですし、税理士の提案やふるまいもまた、社長に共感してもらう必要があります。これができると社長も動いてくれて、信頼関係の構築ができるように思います。信頼関係構築に必要な能力は、コミュニケーション力、人間力、共感力と言い換えることもできますが、こういう計測するのが難しいものに実は大事なポイントがあります。目に見えるものばかりを物差しにしていては駄目でしょう。
失敗を科学する
話が少しそれましたが、いよいよ私の経営支援の第一歩「失敗を科学する」についてです。問題は、何が失敗なのか、何が失敗でないのかという点ですね。これをズバリと事象ごとに助言できるのが、コンサルの資質かなと思います。
ズバリと助言するためには、自分の中で基準がなければいけません。基準があったうえで、あとは諸条件を加味して微調整していきます。
コンサルなら「〇〇が問題です」と言い切らなければなりませんし、それが的確でないといけません。経営者は、はっきりとした指標が欲しいので「~だったら~だと思います」という回答は、求めていません。
色んな条件をつけて回答をぼやかすなら誰でも出来ます。従って、まず言い切るように気を付けています。私も経験を積むほど、段々と言い切れるようになってきました。
税理士なので、失敗の仮説を「適正な粗利がとれてない」とか「労働分配率が高い」とか財務面に置いてみるのもいいでしょう。ただ、数字に表れるのは最終的な結果であって、失敗の根本原因はその前の段階にあるかと思います。従って、私は入り口で粗利や労働分配率がどうのこうという財務分析の話はやりません。やるとしても数字は一番最後です。
まず問題がどこにあるのかを探して、突き止めた問題に関して色々調べて、一緒に改善策を考えます。場合によっては、診断士など他のコンサルの方の協力も得ます。
抽象的になってしまったので、一例をあげます。
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