死なない役も見てみたい?!
先日、ある方にこう言われました。
「死なない役もやるんですか?」
どうやら私のやる役は、死ぬ役が多くて見ていて切ないから(感情移入して下さっているという事!)死なない明るい役も見てみたい。という事だった。
確かに私のやる役は病気で死んだり、狂って死んだり、自害したり、処刑されたり...
今まで演った一体何割の役が死ぬ役なのだろう。
でも、死なない役もあるよ!と言って真っ先に思い浮かんだのがこちら
プーランク 《ティレジアスの乳房》テレーズ
この写真なんのこっちゃな感じですが、テレーズは旦那さんのごはんを作ったり、性の相手をさせられらりする生活に飽き飽きしていて、
「男になる!」と宣言し、女の象徴である胸をはずし(?!)割り(!)男に変身します。
そしてなんと!旦那役は女性に変身!
胸もお尻も大きくなった旦那は警官である男性に言い寄られたりしますが....
最後は元サヤ!
どんなものも愛し合って子供を作ろう!と幕を閉じるという荒唐無稽ではありますが、種を超えた愛のお話のようなオペラです。(超簡単にまとめました。)
当時のフランスは出生率が(人口が)少なくそのことをユーモアで楽しい喜劇にしている
なんともプーランクらしい作品。
まぁ、これは「なんだかよくわからなかったけどスゴく面白かった」と言われる類のお話ですが、「死なない役」に挙げるには、少しぶっ飛び過ぎているかも知れませんね。
もっとわかりやすいところで考えると
オペラブッファやモーツァルトのオペラ、オペレッタなんかの役はあまり死にません。(例外もありますが)
確かに割合的に特に最近は少ないけれど...
しかしこうやってみるとオペラって面白い。様々な登場人物がいて、様々なお話があるんですね。
追々また色々な役についてここにご紹介していけたらと思います。
(死ぬ役も含めて...笑)
そんな訳で声を大にして言っておきます。
『私、死なない役も歌います!!!!!』
悲しいオペラより楽しいオペラが好き!という方は、是非その機会を楽しみにお待ち下さい!
さて今日は最後に!
ご紹介させて頂いたティレジアスの乳房のアリアをご紹介させて頂きます。
【今日のチラ見せ】(今日は全ミセ!)
プーランク《ティレジアスの乳房》より
いいえ、旦那さま
公演: Labo Opera 絨毯座
日時 : 2012年 2月29日、3月1日2日
会場: 杉並公会堂 小ホール
いいえ、旦那さま、子供は作りたくありません。
私はフェミニスト。男の権威なんて認めない。長い間、勝手ばかり。
私が今度は思うままに生きるわ。そして敵と戦いに行きます!
兵士になって戦いたいし、子供は作りたくない。夫の命令はもうウンザリ!
コネチカットで貴方に口説かれ心奪われたからって、何故ザンジバルで料理人しなくちゃいけないのよ。
夫「ベーコンを持ってきてくれ」
ほら、皆さん聞きました?
これが愛?全く分からず屋のおばかさんだわ。
代護士、弁護士、国会議員、上院議員、大臣、長官にも成りたい。それからお医者さんになってヨーロッパやアメリカを震撼させるの!
子供産んだり料理するのはもうまっぴら。私は数学学者、レストランのボーイ、電信技師にもなりたいし、お気に入りの才能あるダンサーのパトロンになって養ってあげたいわ!
夫「ベーコン持ってこい、そう言ってるだろ」
ほら皆さん、こんなのって愛じゃないでしょ。
あら髭が生えてきたみたい。
乳房が取れるわ、ああ!
鳥になって飛んでっておしまい、私の弱さの象徴よ。
しかし女性の胸は、なんて綺麗で魅惑的なんでしょう。ああ、綺麗。
永遠の魅力、美には、いつも危険なことが。だからこそ美しさを犠牲にした方が良いのです。
さあ、大きな乳房を取り除きましょう。
しかし、どういうことかしら、顎髭だけでなく口髭も。
まあ地獄、私はまるで整備士を待っている麦畑のようになってしまったわ!
悪魔的男らしさを感じる!
頭からかかとまで種馬で、闘牛場の雄牛になったみたい!!でも種馬ではないわ!
旦那さま、今は私の方が男らしいのよ、そうやって好き勝手わめき騒いでいたらいい!!!
どうでしょう?
面白かったですか?!
お聴き下さりありがとうございました。
これからもどんな役も全力で演っていきたいと思います!!
やっぱり、歌っていいなぁ。
(表題写真:山吹泰男)
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