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36協定、適正に締結されてますか?

テーマが固い!

そんなこと仰らずに、まずは遥か昔のとある会社のとある店舗での上司Aと部下Bの会話から。

上司A:おいB、先月の残業お疲れ、120時間つけといてやったからな!

部下B:あ、ありがとうございます。(何で?先月店舗の改装があって朝7時から夜10時まで土日も休みなく働いて200時間以上も残業したのに。。。)

これ、ほんとの話です。今ではこんなに時間外労働させることは違法ですのでこのようなことはもうない(はず)ですが、よくある(?)光景でした。

時間外労働をさせるには

労働基準法(以下、労基法)では使用者が労働者に時間外労働をさせる際には、行政官庁(所轄労働基準監督署長)に「労使協定」を締結して届出なさい。ということが定められています。

労基法第36条で定められているためこれを「36協定」と呼ぶこともあります。

で、36協定を届け出ますと法定の労働時間又は法定の休日に関する規定にかかわらず、その協定でさだめるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができるとされています。

たとえば1日8時間、週40時間労働で、完全週休2日制であってもこれを超えて労働者を労働させることができるようになります。

36協定を締結するには

36協定を締結するには労働者の過半数で組織する労働組合がある場合は労働組合と

労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者との間で書面で締結することになります。

厚生労働省の労働組合基礎調査において、令和2年度では組織率は17.1%となっており、そのほとんどが大企業に属していますので、ここでは労働組合のない、中小企業の対応についてお話ししてまいります。

労働者の過半数を代表する者とは

労働組合を組織している中小企業はそれほど多くないため、ほとんどの中小企業は労働者の過半数を代表する者を選出することとなります。

労働者の過半数を代表する者とは労働者全員の意思に基づいて選出された代表を指します。

労働者全員とは、労使協定を締結する時点でパートタイマーや臨時に雇用されているアルバイト、長期休職中の方も含んで、その事業場で労働する全ての労働者をいいます。

代表者の選出方法

とある冒頭とは別の会社の上司C(総務部長)と部下Dとの会話です。

上司C:Dくん、労働者代表になってくれるんでしょ。

部下D:は、はい。承知しました…。(何やるのかよくわからないけど、部長に言われたら断れないもんな)

これもほんとの話です。

この事例のように使用者が一方的に指名したり、会社の代表が古株の社員にとりあえず署名させて労働者代表にしてしまうと、労働者代表が民主的に選出されていないこととなり、

過半数労働者の選出が適正に行われていないという理由で、都道府県労働局から代表者選出のやり直しを指導されることがあります。

そうすると、36協定を無効とされ「6ヵ月以下の懲役又は30万円以下の罰金」が科されることにもなりかねません。

過半数代表選出の方法は、どの協定の代表なのか、目的を明らかにした上で、

①投票や挙手を行い過半数労働者の支持を得た者を選出する方法
②候補者を募り、投票や回覧等によって信任を求め、過半数の支持を得た者
 を選出する方法
大きな会社向けではありますが、
③事業場の各部署ごとに代表者を選出し、選出されたそれぞれの代表者の間  
 で選出する方法

などがあります。

会社規模や状況によって選出する方法はいろいろありますが、
使用者が一方的に指名する方法や親睦会等の代表者を自動的に代表とする方法は適正な選出方法とはなりませんので、くれぐれもご注意ください。

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