わたしのママ

わたしの首には生まれつき100円大くらいのあざがある。今思うと大したアザではないんだけど、小さい時はそれを気にしてずっと髪を伸ばしていた。
そんな私を見てママは、私のクローンが現れてどっちが本物か分からなくなったときこのアザが目印になるんだよって言ってくれた。

子育てに熱心な人で、よく膝枕で耳かきをしてくれた。わたしの耳の奥には妖精が住んでるよって言ってた。それたぶん全然とれない耳かすだと思う。

そんなママと10年ぶりに連絡してみたらいまは狐のぬいぐるみの吉音チャンを育てていてどこにでも一緒に連れていっているらしい。ふむ…。

幼稚園児のときトイレにあるママのタンポンをなんだろうと思い、黙って開封しちゃったのを妹のせいにしたときに、嘘だって分かってるのに怒らずにいてくれたママ。
妹には「この嘘つき魔女!ダウトウィッチ!」と罵られた。ごめん。全面的に私が悪かった。でもそれを言うならライアーウィッチだと思う。

寂しくて男の人と浮気をして親権を奪われて妹と私と姉に会えなくなって、悲しくて髪が抜け落ちてしまったママ。いまは吉音チャンとパートナーと幸せに過ごしているママ。

弱くて優しいわたしのママ。

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