氷菓

睡眠薬を飲み下すと脳の奥で氷砂糖がじわりと溶けたようになにかが広がる。
二言目には死にたいと言う僕に、きみは悲しそうに微かに目を細める。
僕にしか気づけないくらい微かな皮膚のさざめき。
僕の孤独で君を絡め取ってしまったことが心残りで、僕は今日も死ぬのを踏みとどまり続けている。

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