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『蜜蜂と遠雷』恩田陸・著

先日『灰の劇場』を読み、その後いくつか他の作家の小説を読みましたが、恩田さんならと、同僚に激押しされたので、とうとう『蜜蜂と遠雷』を読みました。

直木賞に本屋大賞と、書店員なら読んでいて当然と言えるような作品ですが、恩田陸さんは著作が多いことと、以前読んだ作品にひっかかりがあるものがあり、なかなか読み進めることができない方でした。好きな作品もあるのに、次々と手を伸ばす前にちょっと躊躇う、そんな中でもこの作品はあまりにあれよあれよと売れてしまったので、妙に腰が引けてしまい、メディア化も予想外にというか、予想通りに早くて、そのまま手を伸ばせずにもうこんなに、という感じです。

『灰の劇場』は読む前に思っていたイメージとは全然違う物語でしたが、『蜜蜂と遠雷』はとてもストレートに、まさしく響いてくる物語でした。登場人物達のそれぞれが隣に立ってはそれぞれの思いに立ち向かっていく、それを見届けていく物語。

映画を観ていなくて良かった、と本当にそう思いました。映画が悪いとかではなく、俳優に演じられた登場人物達を観てしまったあとでは、どうしても物語自体にフィルターがかかってしまい、私の中で生まれたものが違うものになってしまう、そういうことがあります。反対に映像化されたことで、リアルに立ち上がるものもあるので、映像化になにもかも反対というわけではないのですが。この物語も、YouTubeで曲を確かめたりはしましたし。

それでもこの物語は、私の中で広がるために余分な情報は少ない方がよかったと思える物語でした。明日、職場で『祝祭と予感』を買わなくては。

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