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『ドラゴンボールの息子』その2「小山家のラストクリスマス」

今日は、世界中の子供たちが夢を膨らませるクリスマス。

クリスマスと言えば、
みなさんにも色々な思い出がありますよね?

今日は、我が家の大切なクリスマスのエピソードをひとつ披露させていただきます。

アニメのシナリオライターとしてはタブーである「サンタクロースの正体」について触れさせてもらいますので、心のキレイなちびっ子たちはこの記事を読まないでくださいね!笑

僕の父は、アニメのお話を書くことで多くの子供たちに「夢と希望」を与えようと努力し続けてきた人です。

そんな父がいる我が家では、母がクリスマス好きだったこともあり、僕に対して本気でサンタクロース伝説を演出してくれました。

我が家には煙突はないけど、毎年サンタクロースがやって来てくれる。

サンタさんに手紙を書けば返事を返してくれたし、コーヒーとケーキを用意しておけばキレイになくなっていたし、25日の朝、目が覚めると必ずプレゼントが枕元にあるわけです。

ある年のクリスマスなんて、
目を覚ました私へ母が嬉しそうに言いました。
「真、サンタさんが玄関にプレゼントを届けてくれたよ!」
慌てて飛び起きてみると、狭い玄関の中に
リボンが巻いてある自転車が置いてありました(笑)

今、考えてみると、いったい我が家のどこに自転車を隠してたんだろうか……?

ここまでしてくれた両親のおかげで僕は、
夢に溢れたクリスマスが大好きになっていました。

すると、僕は……中学一年生になっても
サンタクロースを本気で信じていたんです。

もちろんその年齢になるまでには、
多くの友人たちが夢を失っていくもので……
「サンタクロースなんていないんだよ!」
「親がプレゼントを置いてるだけなんだぞ?」
当然のように、そんな心無い言葉をかけられるわけです。

僕はそんな風に夢を失ってしまった彼らに言ってやりましたよ。
「みんな可愛そうに……いい子にしてないからだよ」と。

そんな風に信じ続けられたのも、両親が用意してくれたクリスマスが本当に楽しかったからだと思います。

そんな我が家では、サンタさんにクリスマスプレゼントをお願いするための決められた手順がありました。

1、欲しいプレゼントがあったら、広告を切り抜いてサンタクロースの友人である父に渡す。

2、父がサンタクロースに願いを届けてくれて、プレゼントが届く。

このシンプルなルールがよかった。
これで、欲しいプレゼントが来なかったのは一度だけです。

子供ってのは毎年、毎年、願い事が叶えられていくと、「サンタさんってすげぇ……!」って本気で信じて行くわけですよ。

ところが、中学一年生にもなると邪悪な心が芽生えてくるわけで。

僕にとって、サンタクロースはもはや
「なんでもタダでくれる便利なおじさん」になってしまったんですね。

そこで僕は、どうせタダなんだから少しでも高価なものを頼んで、
あとでそれを転売すれば家族で旅行が出来ると思ったんですよ。

マコ……恐ろしい子!!!

当時の私は一生懸命、広告の中で一番高いものを探しました。
そしたらありましたよ……24万円のロレックスの時計が!

「よーし、これなら後で高く売れそうだ!」

僕は意を決して切り抜いた広告を父に渡し、
いつものように「サンタクロースに伝えて」と言いました。

すると、父の顔色がみるみる変わるわけですよ。
「あれ? どうしたのかなぁ……?」と私が思っていると父が突然、大きな声を出したんです。

「ばかやろう! サンタはオレだっ!!!」

そりゃもう、僕の頭の中は「?」で一杯ですよ。

だって信じられます? 
今まで大好きだったスーパースターが実は自分の父親でしたなんて。
思わず、ちょっとお父さん冗談キツイよって苦笑いしちゃいました。

すると、父は続けてこう言いました。

「タダだと思って、調子に乗るんじゃねぇ!!!」

さすがのとぼけた僕にも父の本気度が伝わって、ようやく遅れて来るわけですよ、「サンタが両親」だった衝撃が。

こうして、我が家のサンタクロース伝説は一瞬にして消え去り、翌年からは僕も普通のお願いをする子供に戻ったのであります。

後になって父はあの時の気持ちを教えてくれましたが、
「今、目を覚まさせなかったら、
 コイツはとんでもないヤツになってしまう」
と思ったそうです。
いやぁ~、我が父ながらグッジョブでしたね(笑)

以上が、我が家の大事なクリスマスの思い出。
くだらない話にお付き合い頂き、ありがとうございました。

どうぞ今夜は、みなさんも素敵なクリスマスをお過ごしください!

#エッセイ #日記 #アニメ

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