『ドラゴンボールの息子』その4「父ちゃんの口ぐせ」
今でこそ、ほとんど言わなくなりましたが、
父には代名詞とも言える口ぐせがありました。
『バカ野郎』
僕や家族はもちろんのこと、父に育てられた100人以上の門下生たちが幾度となく言われて来た言葉です。
乱暴な言葉遣いで、
お恥ずかしい限りなのですが……
息子としてフォローするならば、父のバカ野郎はあのビートたけしさんのそれと同じように、喜怒哀楽のすべてを表現できるんです。
そう、JKが言う『ヤバい』のような。
発音も『バカ野郎』ではなく『べけやろいっ』と言った感じで、江戸っ子の『てやんでぇちくしょうめ』的なさっぱりした雰囲気があるといいましょうか。
まぁ、もちろん言われた方はいつだってビビりますけどね(笑)
とりわけ僕はドジな子供だったので、父からはいつもバカ野郎と言われていました。
水をこぼして、バカ野郎。
ご飯をこぼして、バカ野郎。
勉強さぼって、バカ野郎。
そうです、僕はこの言葉とともに大きくなったと言っても過言ではありません!
そんな僕が捻くれずに育つことが出来たのは、
父に怒られた分は母が優しくしてくれたからだと思います。
ですが、僕が中学生になったある日。
まさかの事実が明かされることになります。
いつものように、
僕は父から『バカ野郎』と叱られました。
その時、普段は温厚なうちの母が、
『高生さん、いいかげんにしてっ!!!』と、
大きな声で言い返すじゃありませんか!
『ありがとう、お母さん……お父さんから
僕を守ってくれるんだね!』
僕は心の中で、喜びの声をあげました。
すると母は続けて、
『高生さんがバカバカ言うから、
真がバカになっちゃったのよっ!!!』
僕、思わずポカーンですよ。
え? お母さん、
僕のことバカだと思ってたの?
奇しくもこの日、両親がふたりとも僕のことを『ぼんくら』だと思いながらも大事に育ててくれていたことが判明したわけです。
これはもう……感謝しかありませんよね!
むしろ、グレてもよかったのかなぁ?笑
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