緊急事態宣言直前の電車内の情景

再度の緊急事態宣言を前にして、今年初めて会社に出社した時のこと、見かけた電車内での情景を記しておきたい。

往路は通勤時間帯ではなく昼時だったのだが、閑散としている電車の中に乗ってきた母親と娘と思われる二人組。私の一つ離れた隣のロングシートに着座したが車内で唯一喋り続けている。注意して見てみると60代と思しき母親の口元はマスクではなくマウスガードがしっかり曇っていた。

緊急事態宣言が報じられた後の20時ごろの帰路の車両は乗車時には70cm〜1mぐらいで立っている状態。私はドアと座席脇のポジションに立っていたが、対角線の同じ位置にいるオジサンはマスクをずらして缶チューハイを呑んでいる。その前にはマスクすらしていない外国人、さらに真ん中に立っている男女三人組は大声で話している状態。これは発車直前に乗車率が上がってきても変わりがない。

乗り継いだ別の電車でも車内で喋っているのは若者。これは一つの断片的な観察でしかないが、これらの人々にはおそらく緊急事態宣言や自粛を呼び掛けても行動変容はあまり期待できないのではないか。そもそも電車内の張り詰めていた緊張感が明らかに違うのだから。

今週、テレビで神戸大学の岩田教授がコメントされているのを見たが、「感染拡大の原因は飲食店ではなく適切に振る舞わない客の方である」という趣旨の話をされていた。私自身は昨年4月からほぼ全くといっていいほど外食をしていないが、年末にちょっとした飲食の席があった。会場は広めの会議室で2m以上のSocial Distanceをとり箱詰め弁当に缶ビールという会合だったが、会話が弾むにつれ参加者がマスクを外して話し出した。おそらく同じようなことは一般の飲食店でも起こっているのではないだろうか。その際に問題なのはやはり店側よりも客の方だろう。

正直、飲食店の営業時間を22時から20時に繰り上げることでどの程度の感染抑制効果があるのかは分からない。今までの論法だとこの2時間の効果についてコメンテーター達(やテレビの常連の居酒屋店主達)が口泡飛ばして是々非々を議論するのかもしれない。しかしここで考えるべきはむしろ20時と繰り上げることで国民にどのようなメッセージが伝わるか、ということである。そしてメッセージが伝わっていないようであれば20時が18時となり、あるいは全面自粛なども考えるか、または別の方策でのメッセージの発信を考えなければならない。

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