【スペイン語試験】SIELEを受けてみた話

2022年2月2日、コロナ禍の最中、ぼくは単身、大都会東京にいた。スペイン語試験SIELEの受験のためだ。

メキシコに住み始めて3年弱、自分のスペイン語レベルがどれくらいなのかを知りたかった。

仕事や日常生活で特に大きな不便を感じることはないし、メキシコ人にもスペイン語がうまいとお世辞なのか本音なのかわからない評価をもらっていたが、点数として評価されたことはない。

一度点数で評価されることで、自分の立ち位置を知りたかった。SIELEを受験するかどうか迷っている人や当日の様子が知りたい人のご参考になれば幸いである。

3種類のスペイン語試験

まず、突然SIELEと言う試験の名前を出したが、スペイン語の試験は大きく3つある。

スペイン語検定:日本の文部科学省が認定

DELE:スペインの教育・職業訓練省が実施

SIELE:インスティトゥト・セルバンテス、メキシコ国立自治州大学、サラマンカ大学、ブエノスアイレス大学の4つの文化・学術機関が実施

まず、試験日程を確認した。受けようかな、と思ったのは11月。次の試験はスペイン語検定は6月、DELEは5月。よし、SIELEにしよう。

申し込み方法を確認した。ネットで色々調べてみると、スペイン語検定とDELEは申し込みのときに自分で自分のレベルを見極めて出願する必要があり、結果は合否の判定のみ。DELEは申し込みがめんどくさいようだ。よし、SIELEにしよう。

唯一SIELEのみ有効期限があることが気になった。TOEIC900点超え、DELE C1、SIELE850点、現在はポルトガル語を勉強しているという語学マニアの友達に聞くと、SIELEは有効期限がある分、直近のレベルを証明するのに使っている人が多いそうだ。よし、SIELEにしよう。

申し込み方法

ということでSIELEを受けることにした。申し込み方法はスクショを撮り忘れたので割愛する。

申し込みページはスペイン語のほか、英語、ポルトガル語、フランス語が選べた。スペイン語でやってみた。何度かエラーになったが、どうにか申し込みはできたようだ。

受験料は165ユーロ。高い。というか1ユーロがいくらなのかよく知らない。ざっくり130円くらいだったという5年くらい前の薄い記憶で計算しても高い。

PayPalを使って振り込んだ。このために登録してアプリまでダウンロードした。iPhoneに追加されたPayPalを今後使う機会はあるのだろうか。きっとないのだろうと思いながら、今もiPhoneにはPayPalアプリが残っている。

(2022/5/17追記:ウェブタスメディアスクールの支払いで2度目のPayPal払いをした。)

SIELE受験当日

迎えた受験当日、前日は所用で豊橋に泊まっていた。その所用も当日相手の奥さんが事故るというなかなかありえない理由でドタキャンされたので豊橋に泊まる必要はなかった。

キャンセル料80%を払った上で東京でホテルを取り直す選択肢が脳裏をよぎったが、冷静に考えるとさらにお金を払うだけだと気付いた。当日の朝早起きすれば良い。3時間の睡眠のために万札を出すほど無職のぼくの懐は暖かくない。

市ヶ谷駅で降り、まだ時間があったのでルノアールでコーヒーを頼んだ。最初にサービスで出る水を一気飲みした。コーヒーを持ってきてもらった時に既に空になっているコップを見て、もう1杯水が出てきた。サービス精神旺盛な店である。さすが高いだけはある。

コーヒーが運ばれてくるのは喫煙ルームから眺めていた。電子タバコなら席で吸えるそうだが、紙巻きタバコ派のぼくは動物園の檻のようなガラス張りの喫煙ルームで吸わなければならない。

「タバコを吸うヒト」とか看板つけてみるか、という意味不明な考えを吸い殻と一緒に捨て、適当に時間を潰してから会場へ向かった。ちなみに最後にあったかいお茶もサービスされた。きっちり飲み干した。

会場に到着し、受付でSIELEを受けにきたことを伝える。試験会場に案内された。パソコンが8台並んでいた。担当は普通に日本人だった。スペイン語特有の¡、¿、ñ、á、óとかの入力方法を教えてもらって、試験の概要を説明してもらう。

試験開始まであと20分、することもなくぼんやり過ごしているうちに、さっきの水2杯とコーヒーとお茶による尿意が襲ってくる。しかも眠い。暖房が心地よい。とりあえずトイレに行くことにする。まだ試験開始まで15分ある。

さっきの説明によるとリーディング60分とリスニング55分を続けて受けたあと、ライティングの前に15分休憩してもいいそうだ。このあとおよそ2時間を尿意と睡魔と戦いながら過ごさなければならない。

ルノアールのサービス精神と、出されたものを残したくないというぼくのポリシーのシナジーである。仕方ない。無駄なシナジー効果を発生させてしまった自分を少し恨みながら、試験開始となった。

(最初の説明が終わったあと、会場には特に担当者もおらず、他の受験者もおらず、完全放置だったので実はいつでもトイレに行けたのかもしれない)

SIELEの試験内容

リーディングは大問が5つあって、徐々に難易度が上がっていく感じである。序盤は手紙や広告を見て、当てはまる項目を選んでいく感じ。なんかセンター試験の英語でこんな感じのあってあんまり好きじゃなかったなーとか思いながら先へ進んでいく。

前には戻れないらしい。前進あるのみ。孫さんが脳裏に浮かんで邪魔をしてくる。

https://twitter.com/masason/status/288641633187147776

気が散って仕方ない。

リーディングは1つの長い文章の中に5つくらい空欄があって、そこに当てはまる文章をそれぞれ選ぶ問題が難しかった。わからない単語が多くて、ボキャブラリー不足を露呈した。

リスニングもリーディングと同じように段々難しくなる。ある程度聞き取れる。スペイン語はほぼローマ字読みの発音なので、スペルはだいたいわかる。

ただ、その単語の意味はわからない。ここでもボキャブラリー不足を感じた。いつの間にか尿意は消えていた。孫さんのおかげかもしれない。

試験のリスニング試験は実際の面と向かった会話よりも難しいと思う。面と向かって話をしていると、ぼくがわからない顔をしていると、分かりやすい単語に言い換えてくれたり、違う言葉で説明してくれたりするが、リスニングだとそんな親切なことはしてくれない。

リスニングが終わったのでトイレに行く。休憩は15分まで、と言われたが誰もいない。「休憩してもいい」と言われたのでしなくても良いのだろう。トイレからの帰り道、自販機が目に留まる。気がつくとコーヒーを買っていた。ここまで来るともう病的である。

何かをするとコーヒーを飲みたくなる。タバコも吸いたくなる。ちなみに今もこの記事を書きながらタバコを吸い、コーヒーを飲んでいる。タバコとコーヒーってなんでこんなに合うんだろうか。

ライティングの試験を始める。やはり15分経っていなくても始めることができた。1問目はあまり覚えていない。¡Hola!と書き始めた記憶はある。おそらくそんなに硬い内容ではなかったのだろう。

少し思い出してきた。パーティをした経験を、いろんな人のパーティ経験をまとめているブログの管理者に向けて書くという内容だった。

いつ何のためにどんなパーティをして、どんな音楽を聴き、何を食べて飲んだかを述べた上で、一番思い出に残ったことを書くという問題である。

なんだそのパリピ向けのブログは。どこに需要がある。パーティなんて久しくやっていない。世はコロナ禍である。

メキシコに駐在し始めてすぐくらいに招待されたホームパーティのことを思い出しながら書いた。こういうときには現地で暮らした経験が生きる。

2問目は2つの選択肢から選べた。新しいショッピングセンターを街の北エリアに作る計画があるという新聞記事に対して、反対の立場から理由と代替案を含めて投書するという内容の問題を選んだ。

入力用の枠の下に、目安になる文字数が書いてある。まずい全然足りない。しかし要求された内容は全て書いている。仕事で叩き込まれた簡潔にまとめるスキルが仇となる。

とりあえず文字数を増やすためにほぼ同じ内容を違う言い方で書いてみる。くどい。くどすぎる。でもまだ文字数は足りない。もういい、言いたいことは伝わっているだろう。

最後にスピーキングである。もう疲れている。誰もいない部屋でヘッドセットを装着する。コーヒーを飲んだ。飲んでいいのか知らないけど誰も見ていない。

申し訳ないが、試験内容もあまり覚えていない。最後の方は個人情報を共有することはリスクがあると思うか、というテーマだった。リスクはある。当然である。なぜそう思うのかを含めて解答しなければならなかった。根拠のある解答は思いつかなかったのでクレカを不正利用されたことにした。そんな経験ないけど。

11時半から始まって終わったのは14時を過ぎていた。昼飯を食いそびれた。お腹がすいた。でも夕方からは新橋で幼馴染とディナーの予定である。コンビニでコーヒーを買ってホテルに一旦戻った。またコーヒーである。ぼくの身体はほぼコーヒーでできている。

初めてのSIELE受験結果

これを書いているのは2022年2月3日である。既に結果が出ている。早い。めっちゃ早い。

700点取れていた。各セクション250点満点の計1000点満点である。むしろ期待外れの良い結果である。しかもスピーキングは満点に近い。なぜだか自分でもわからない。しゃべっている途中でタイムオーバーしたのに。

どうでもいいけど「点」のことPuntoっていうのかわいい。ぷんと。複数だと、ぷんとす。スペイン語かわいい。男の子はニーニョ、女の子はニーニャである。エルニーニョ現象とかラニーニャ現象とかのアレである。日本語にすると、その男の子現象、その女の子現象である。意味がわからない。

何やら色々書いてある。リーディングとリスニングはB1レベル、ライティングはB2レベル、スピーキングはC1レベルらしい。よくわからないので調べてみた。

B1は「日常での身近な事柄や学習・仕事に関する既知の内容を理解することができる。大抵の状況で適した応対ができ、既知のテーマや個人的に興味があること、経験、出来事、希望、願望、計画、意見など簡単に表現することができるレベル」。

B2は「複雑な内容や抽象的なテーマ、スペイン語の多様性を認識し、既知の専門的内容を理解することができる。流暢かつ自然で、聞き手に困難を与えない会話能力を持ち、明瞭かつ詳細な文章を作成し、推論的分析、ディベートなどができるレベル」。

C1は「ある程度の幅広い分野の文章や会話を展開する中で言外の意味や、相手の態度、意図までを読み取りながら自在に言語を操り、流暢且つ臨機応変に無理なく自分の考えを表現し、社会的分野、ビジネス分野、学術的分野などいかなる分野であっても常に状況と文脈に対応した表現を使用できる。また、複雑な文章を作成したり、テキストを利用して考えをまとめ、柔軟且つ効率的に言語を運用することができるレベル」。 

(「DELEスペイン語検定について」から引用。)

初めてのSIELE受験のまとめ

できない。どれだけ過大評価してもそれはできない。なんなら日本語でも自信ない。でも公式に点数評価されてこの結果である。もう少し自信を持ってもいいのかもしれない。

やはり言語は使わざるをえない状況になると身につくんだなと思いながら、メキシコのアミーゴへ報告しようと思う。

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