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日本に住みたいのに、なぜか海外に出ようとしてしまうのは。

夏という季節が好きなのに、冬服が好きだったり、

友人とキャンプをしようとずっと言っているのに、いざ時間ができても一日中家で読書やゲームをしてみたり、

新しい人と会うのは楽しいのに、少し人見知りで引っ込み思案だったり。

人間誰でもちょっぴり多重人格で、矛盾した意見や感情を同時に持つこともあるだろうけれど、
自分の場合それが他の人より大きいような気がして、もっと単純明快でわかりやすい人だったら、こんなに変なこと考えなくて済むのかなと想像することが多々ある。

が、そんな拗らせている自分も嫌いじゃなかったりする。ほら、やはり、ややこしい。

そのたくさんの自分が抱える矛盾の中で、最も言語化しにくいものが、「日本が大好きでずっとここに住みたいのに、海外に出ようとしてしまう」ことだ。

まず第一に自分はかなりのホームシック気質。

幼稚園、小学校に遡るが、サッカーの合宿は2泊3日という短期なものでも毎回行く前に号泣していた。

練習がキツいから嫌だとかではなく、単純に親元と家を離れるのが苦手だった。

兄と祖父と、従兄弟家族に会いに海外に行こうというときも、それまでは張り切っていたのに関わらず、急に寂しくなって、前夜に大号泣して母を手こずらせた記憶もある。

そんな自分が海外の大学に行きたいと案外すんなり決めたのは我ながら意外だった。

渡米直前まで余裕だったのに、空港で急に寂しくなり、これまた大号泣したのは、今となっては笑い話だが、4年間の在学期間、1年に1度の一時帰国の日程は常に頭の中にあって、毎日のようにカウントダウンを続けていた。

こんな留学生もなかなかいないのかもしれない。海外にわざわざ留学に来る人たちは、海外の生活が大好きで、日本に帰りたくないくらいの人の方が多いはずだ。

ただ、全くもって自分は海外の大学生活が楽しくなかったわけじゃない。むしろその逆で、自分の大好きなサッカーに打ち込める環境にいたし、やりたい勉強もできて、何時間も熱中するものを語り合える友人だっていた。充実した大学生活が送れていたと自負するが、どんな楽しい瞬間でも頭の片隅には日本への帰国欲が拭えなかった。

まぁそれでも海外に行く決断が1回だけならまだわかる。確かに自分の大学は魅力的だったし、卒業できた暁には、日本に戻り日本でお仕事をすればいい。

けれど、なぜか自分はその次の年も、その次も海外に行くことを決断した。

毎回、空港のターミナルで、ウサギだったら耐えられないんじゃないかと思うほどの孤独を感じるのをわかっているのに関わらず、今でも私は海外に出る選択をし続けている。正直、海外に行く時の「楽しみ」と「寂しさ」の割合は2:8くらいなのに、いつもその2をとる。いや、実はその8にさえ惹かれているのかもしれない。

寂しさ、孤独感は何回海外に出ることになっても消える気がしない。
だけれど、私がその選択をし続けるのは、その「一人の時間」が今の自分を形成してくれているのは明確であり、確実にそれが自分を成長させてくれていると実感しているからだ。

一人の時間は自分自身と向き合う時間であると共に、全てにおいて感度を上げる時間である。感覚を最大限に研ぎ澄まし、普段気に留めない小さな感情のブレに気付くのは、海外に一人でいるときの方が多い気がする。

建物の並び方、木の聳え立ち方、風の吹く方向、街を歩く人の足音、壁や地面に描かれているアート。自分の住み慣れた日本では気づきもしなかったもの、一つ一つに興味が湧き、愛おしささえ感じる。

日本にいると、何となく安心し過ぎてしまい、見逃している感情の変化も、一人でいるときは敏感に感じ取れる。「あ、今こういう出来事があったから自分はこういう感情になっているんだ」「こういう人との触れ合いに幸せ、または逆に寂しさを感じるのか」と自分の知らなかった自分に出会えるのも、海外に住んでいる時であったりする。

必ずしも海外に出る必要はないのかもしれないが、少なくとも私にとっては、言語が違うこと、自分の常識が通じないこと、想像もつかないことが日常的に起きること、は自分に孤独を感じさせると同時に、普段は閉まっているアンテナ全てを起こし、自分、他人、感情、出来事、に対しての意識を敏感にしてくれる。

その中で感じ取ったものが、少しずつ積み上げられて、自分が成長し形成されているから、私はどれだけ日本が好きで、どれだけ苦しくても、今は海外に出る選択をする。

私を日本で待ってくれている皆さん。
日本が大好きで、自分の1番のアイデンティティーであることに変わりはないので、いつか自分が納得のいく実力を手に入れたら、この海外で得た経験を活かして必ず還元し、日本の成長に貢献したいと思っています。
ちょっとだけ待っていてください。

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