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#stayhomeにて本を読んだら。

私はもともとフェミニズム思想の人たちがあまり好きではなかった。彼女たちは性差について妙にずっとこだわっていて「我々に権利を!」と!主張しているのだと思っていたからだ。私は特にジェンダー論に興味はなく、女として生まれたならそう生きていけばいいのに何意識してるんだろう?くらいにしか思っていなかった。昨年の東京大学の入学式。上野千鶴子先生の祝辞が話題になった時もちゃんと読まないまま、過ごしてしまった。あの時にちゃんと読んでおけばよかった、と今では思っている。それは、私が今年やっとの思いで博士課程に進学できたのに、入学式が中止になってしまい、未だに大学から学籍番号さえ知らされていないのに履修登録だけしろ!と言われて、さみしいからではない。理由はひとつ。姫野カオルコ著『彼女は頭が悪いから』を読んだからだ。

この本の書評はプロであれ、単なるブロガーであれ、たくさん乗せられているので、この本について語りたいとは思わない。というか、語るのがつらい。この本を読んだらとても悲しくて、泣いて、疲れた。そして私は美咲の環境に近い状態で育ったので、彼女が不憫でならなかった。「知らない」が自分を守れない。アンテナを張ってすこし「ずるく」生きることも大切なのかもしれない。この「ずるい」は頭を使うことなのか、感覚的に身に付けるものなのかは人によると思うけど、とにかく「無防備」の怖さをたたきつけられた。

結果、私はこの本をジェンダー論的視点で読むことはできなかったのだけど、やっぱりこの本を祝辞で取り上げるくらいだからと、上野先生の言葉を読んだ。なるほど、何となくフェミニズム思想というものが少しわかった気がした。きっと捉え方がちがっている「自称・フェミニスト」は散見されるが。

私事だが、ずっと仕事をしながら受験勉強をしていた気持ちの糸のようなものが切れて、英語にも研究にも身に入らなかった。おまけに入学式もなくなったので、その糸はだらんとくたびれたままになっていた。しかし、この本を一気に読んだときになんとなく糸は少しピンと張ってくれた気がする。美咲のような環境に育った私。唯一、私が彼女と違うのは「負けず嫌い」ということだ。「負けそう」と思うときにアンテナが立つ。

この本は一気に読める。外出自粛の中、一気に読む気力がある方にはお勧めの本である。しかし、メンタルが強い方がいいかもしれない。

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