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ブランコおじさん

中国に住んでいたときのことである。
私の住んでいたマンションから、遊具のある広場が見えた。
その広場は、ビルのオフィス棟につながっていて、お昼にはたまに誰かがテイクアウトを食べている、そんな場所だった。

ちょっと暑くなりはじめたある平日の朝10時頃、オフィス棟から、短パンに白いシャツのカジュアルな服装のおじさんが現れた。
誰もいない広場で、そのおじさんは真っすぐブランコを目指し、座った。そしてかなり高くまでブランコを漕ぎながら、携帯電話をかけはじめた(声は聞こえない)。

おじさんは、電話をかけながら思いっきりブランコ漕ぎ、少し足の動きを弱めながら、携帯を見て、また次の電話をかけている。

おじさんはブランコを漕いで小一時間過ごし、そして去った。

それからそのブランコおじさんは、毎週のようにあらわれて、1時間くらい電話をしながらブランコを漕ぐようになった(たまたま私がそのことに気が付いて、外を眺めるようになっただけで、もっと前からそうだったのかもしれない)。携帯電話以外毎回何も持っていない。

ブランコに乗りながら、何してるんだろう?

…そして、ある時私は結論づけた(まあまあの確信をもっている)。

おじさんは、保険か何かの営業マンに違いない。
1週間に1度、外で営業電話をかけると決めている。
できるだけいい感じに晴れた日に、ブランコに乗りながらリラックスした雰囲気で、電話をすることにしている。
携帯にちょっとメモすることがあっても、紙に書いたりはしない。
売上げは上々で、この営業スタイルが気に入っている。

おじさんは、ブランコにのって<一人リモートワーク>を勝手にしていた(コロナ前の話です)。


コロナになって、仕事は職場以外でもできるんだ、できなくはないんだ!と驚いた人も多いと思う。

最近はコロナの収束とともに、「みんなオフィスへ行こうよ」、「会議は直接対面で」の動きが強くなっているが、私たちは、忘れない方がいい。
色んな環境でやってみるって、とっても大事。
場所が変われば気分も変わる。

ブランコを漕ぎながらの方が、上手くいく営業もあるのかも。

私たちは慣れた環境で、つい、いつも通りにいつもと同じことをしてしまうけれど、たまには思いつきで環境を変えてやってみるのもいいんじゃないかな。

煮詰まって、あああああ~っとなったときに、時々ブランコのおじさんを思い出す。
気楽にやってこーぜ。まあちょっと、外の空気吸ってきな!

‥‥
それって本当に会社でなければできないことですか?
考えるテーマを決めてから、散歩してみるとかどうですか?
いつもより早寝して明日早起きしてみるとかはどうですか?

【今日の質問】煮詰まっていることない?ねえ少しだけ、環境変えてみない?

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